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05年経済成長率は2・3%=Ipea=来年も下方修正=大きく期待はずれた設備投資=工業部門売上は4カ月連続減

2005年12月08日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】予算管理省の応用経済研究所(Ipea)は六日、二〇〇五年の経済成長率を二・三%とし、さらに景気の冷え込みを予測する見通しを発表した。理由として設備投資の五・三%増を期待したが、実際は〇・九%に留まったこと、また基本金利の大幅切り下げは保留され、政治危機だけが居座り経済環境を難しくしたことを挙げた。Ipeaは〇六年の経済成長率も下方修正をする必要があるとした。一方、全国工業連盟(CNI)も、今年の経済成長率を三・五%から二・五%に下げ、十月の売上げが四カ月連続で低下したと発表した。
 新規投資の激減は、政治危機の行く末を案じて新しい計画を引き出しへ投げ込んだことを意味する。〇六年の経済成長率も、Ipeaは四%から三・四%へ下方修正した。中央銀行の通貨政策に沿って企業は、第3・四半期の在庫調整で投資を大きく絞り込んだ。
 インフレ抑制だけを中銀通貨政策委員会の役目とするならば、機能を発揮したといえる。インフレ鎮静で製造原価も抑制されたかどうかを検討する必要がある。設備投資の後退を前に、政府の財政政策も検討すべきだとIPeaは指摘する。
 第3・四半期に国内総生産(GDP)が一・二%落ち込むと、第4・四半期に一・四%の回復があるはずだ。企業は在庫調整のあとは一斉に発注する。基本金利は小幅切り下げでも、徐々に効果が出る。政治危機も鎮火の形勢が見えるはずとIpeaは予測する。
 またIpeaは、基本金利の即時大幅切り下げと財政黒字の四・二五%への縮小の同時実行は、黒魔術でしかできないことだとする。黒字幅縮小でGDPに対する債務率は下げられるが、基本金利は下げられないとIpeaはみている。政府はロウセフ官房長官の黒字削減主張を容認、投資導入に力を入れている。
 一方、十月の売上げ落ち込みが四カ月連続であることがCNIを狼狽させた。十月は前月比で〇・九一%減。六月からの累計で三・六%減。この辺で反動の盛り返しが必要である。十月は時期的変動を除外しても、第3・四半期の平均を二%下回った。
 〇五年の経済成長率は、〇四年に比較して低率成長であった。第1・四半期だけが、前年同期比六%増。その後第2は四・八%、第3は二・二八%と、坂道を転げ落ちるように低迷した。企業の売上げ低下は、通貨政策と為替政策を如実に反映したとCNIはいう。高金利は需要と投資を抑え、ドル安は輸出を直撃した。
 ブラジル地理統計院(IBGE)は六日、十一月の自動車や包装材に回復の兆しがあると発表した。十月の工業生産は、スタグフレーションへの突入を危惧させた。工業が全般に落ち込む中、辛うじて救われたのは資本財と非恒久財部門のみだったと発表した。
 十一月に入って自動車生産の一二・三%増が青菜に塩の産業界を慰めた。自動車生産は、工業生産の約一〇%を占める。これだけで工業設備の稼働率が、八〇・七%から八一・一%に上った。包装材も底打ちし、前月比一・三%増、前年比三・一七%増と動きだした。包装材の始動は、メーカーによる製品出荷の先駆けだから幸先はよい。