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学校警備予算を大幅カット=保護者の不安さらに募る=市内巡回、捜査費用も削減=サンパウロ州

2005年11月30日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】アウキミンサンパウロ州知事が二十八日に州議会に提出した来年度予算見積案の中で、公立校および周辺の警備に要する予算が削減されていることが明らかとなり、関係者から非難の声が上がっている。とくに校内暴力、麻薬組織の侵入、誘拐などに不安を募らせている保護者らの間で議論が高まるとみられる。学校の警備に限らず治安全体の予算が事実上減少することになり、州議会の承諾待ちとはいえ、州政府の治安対策案が疑問視されている。
 見積案によると、学校周辺の警備の来年度予算は四七七万二〇〇〇レアルで、今年の予算六四九万二〇〇〇レアルと比し二六%減に相当する一七二万レアルの削減となった。州立および市立の公立校の警備は州の管轄で軍警がパトロールしている。
 今年は三二〇〇校を対象としていたが、来年は五八〇〇校に膨れ上がる。見積案が州議会で認められると、軍警の増員はおろか現在の陣容でカバーすることになり、八〇%以上の超過勤務が強いられる。また各パトカーの受持ちが増えて駆け抜け巡回になると、軍警内部でも不満が噴出している。
 学校警備に限らず、市内パトロールなどの予算も今年の二七億一〇〇〇万レアルから来年は二四億六一〇〇万レアルへと二億四九〇〇万レアルの減少となった。さらに組織犯罪や密輸の捜査費用が今年の一四億一九〇〇万レアルから一二億八一〇〇万レアルへと一億三八〇〇万レアル削られた。
 保安局全体の予算は今年の六九億七四〇〇万レアルから七四億二四〇〇万レアルへと増加したが、その上昇率はわずか六%で、来年度予算総額が一五%の増加となっていることから増額幅が少ない。これに対し治安局関係者は、まだ決定した訳ではないとして、今後上積や補正予算で増額を図っていくとの意向を示している。