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警察による電話盗聴急増=過去3年間に5万4千本=証拠物件として採用以来

2005年11月29日(火)


 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】犯罪捜査で電話での会話のやり取りが証拠物件として採用されたことから、警察当局による電話盗聴が急増している。捜査のための盗聴を認める法令九二九六号が発令されて以来、過去三年間でサンパウロ州における盗聴記録は五万四千本に上った。今年上半期のみで一万三千本に達したと推定されている。
 数が莫大で盗聴記録が数時間に及ぶため、正確な電話本数の統計はないが、通常一件の犯罪に三本の電話盗聴が行われる。盗聴の指示は二〇〇三年に六千百件、昨年は八千件、今年上半期は四千二百件だったため、実際に盗聴された本数はそれぞれ一万八千本、二万四千本、一万二千本とされている。
 盗聴は検察が立件するための最後の手段で、これを許可する裁判所で厳しい審査を受ける。このため検察は捜査の状況や背景を細かく報告する義務があり、単なる密告やうわさなどでは許可されない。それでも一部ではプライバシーの侵害を訴える声があり、現在上院で特別委員会が設けられて、法令の細則を検討している。
 これまでに盗聴による科学捜査で立件できた主な犯罪は、サッカーの王様ペレ―の長男の麻薬取締法違反事件で、麻薬組織のボスと三分間にわたる取材内容が決め手となった。このほか、マルフサンパウロ市長とその息子による不正資金事件、サンパウロ市判事の罪状軽減疑惑、密輸王といわれる中国人の犯罪、パゴッデ歌手のベロ被告の麻薬取扱い事件の立件に貢献している。
 今年上半期の盗聴四千二百件のうちサンパウロ市内は一千六百件で、残り二千六百件は近郊に集中している。市内では犯罪者らが直接面談するためで、尾行捜査に重きが置かれるためだ。
 これらの盗聴はテープやCDなどに収録されて科学捜査員九人によって報告書が作成される。記録は数千時間に及ぶため、一件の報告は数日を要する。内容はほとんどが事件にかかわりのないのが多く、犯罪者の妻からのたわいないおしゃべりの中から事件との関連を拾うため神経をとぎらす。中には愛人との甘い言葉やどぎつい話を楽しむこともあるという。