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また救われるか前官房長官=最高裁の横槍で国会議決延期=「司法の介入」に怒り心頭の野党

2005年11月25日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】一連の国会スキャンダルで告発され、議員権はく奪の国会議決が予定されているジルセウ前官房長官が、これまでの議員調査委員会(CPI)の審議および決定はすべて無効だとする訴えについて、連邦最高裁は二十三日、十人の判事による表決の結果、五対五の賛否に分かれたため判決を引き延ばした。
 本来は十一人の判事によるものだったが一人が病欠したため十人で行われた。次回は全員出席のもとで三十日に行われる予定。前官房長官側は五月に告発されて以来、四回にわたり最高裁に提訴して審議の中断を試みたがことごとく否認されていた。
 今回の争点は前長官が正式に告発される以前に、関連したとされるルラル銀行の頭取などをCPIに召喚して証言を取り付けたのは、裁判の手続上違法であると申立てたもの。これに対し判事が五対五の判断に分かれたもので、司法的に統一見解はなく、判事の個人的判断に委ねられていることを如実に示した結果となった。
 これを受けて、与党労働者党(PT)が率先して擁立して就任したレベロ下院議長は、渡りに舟と二十三日に予定していた前長官の議員権はく奪の国会議決を延期することをいち早く決定した。国会議決はCPIで決定され、当初は九日、その後二十三日へと、いずれも司法の横槍で延期は今回で三度目となった。同議長は「法を遵守するのは国民の義務」とうそぶいているが、前長官の議員権はく奪の回避に向けて一条の光がさしたことに安堵感をあらわにしている。
 仮に最高裁が訴えを却下した場合、国会議決は十二月七日に行われる予定だが、訴えを認めると証人喚問をやり直さねばならず、議決は来年三月以降にずれ込む可能性もある。
 しかし、これに対し関係者は、前長官側の動きは問題の核心に触れず、いたずらに法的手続という重箱の隅をつっついているに過ぎず、「延命作戦」を展開している悪あがきだと非難している。
 とくに野党側は怒り心頭に発する有様で、ノノー下院副議長(自由前線党=PFL)は二十三日の国会で演台に立ち、「司法の介入は国会への侮辱であり、ブラジルの恥部をさらけ出すもの」だと決め付け、今回の最高裁の決定を無視して国会の権威を見せつけるべきだと主張した。他の野党議員も賛同の拍手を送り、国対委員長らが次々と司法介入を非難する演説を行った。

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