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ドル暴落への警戒怠るな=投資先が中国からブラジルへ?

2005年11月23日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】ドル通貨が国内市場で溶解しつつあるのに政府は高金利政策を続行し、輸出産業の未来に暗い影を落しているとセウソ・ミング氏がいう。
 ドル安の原因は高金利だけではないが、増長したのは違いない。すでに経常収支で一四〇億ドルの黒字があるのに、海外から一七〇億ドルの直接投資が入る予測だ。
 二〇〇五年の輸出は、輸入を四三〇億ドル上回る予測。さらに中央銀行は外貨準備高を強化した。これでレアル通貨の続騰は間違いない。ブラジル経済のフンダメンタルスは、順調な国際環境も手伝って上々である。これは投機資金による高騰ではない。
 工業用原料の海外需要は益々増加し、輸出産業に好景気をもたらしている。ブラジルは原油の自給体制を確立し、徐々に原油輸出国へ変貌している。ここでもドルは出るより入るほうが多い。
 中央銀行はドル暴騰の心配もなくなり、安心して基本金利を引き下げられるはずだ。金利引き下げは中銀や国庫庁のドル介入よりも為替市場を安定させる効果がある。関係者が要求する急激な金利引き下げは注意を要する。予想に反してドル暴落の混乱を起こす。
 ブラジル経済の体質改善が海外投資家によって評価されると、国際資本の流れが変わる。草木もなびいた中国への投資にかげりが見え始めたからだ。中国の工業生産にブレが出ている。鉄鋼業界と自動車業界が味わっている現象が中国でも見られる。
 国際資本が中国投資にブレーキをかけたのだ。そして次の投資先として、ブラジルに視線を注いでいる。もし国際資本の潮流に変化が起きるなら、ブラジルでのドルはペチャンコだ。
 後はロウセフ官房長官がいうように、ロシア人に事前相談をするだけだ。しかし、国際資本の流れの変化は画期的な出来事を金融市場で引き起こすと予想される。米国不動産バブルの崩壊や原油の暴騰ショック、双子の赤字を原因とする米国発世界恐慌など。
 もしも、そんな事態が発生するなら、ブラジル経済のフンダメンタルスを前以って確立しておくにしかずだ。そのためにも、経済の基礎条件を別の角度からも検討しておくこと。願わくば、そのような事態が起きないよう祈る。