2005年11月22日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】緊縮財政と高金利政策の是非をめぐり、パロッシ財務相・ベルナルド予算管理相と、ロウセフ官房長官が真正面からぶつかる中、エコノミストの多くは、事は単純な二分論では済まないとみている。
財務相の陣営は、公共債務削減を目的に税収増と公共投資削減を中心とした財政黒字と、インフレ抑制を最優先課題に高金利政策を現在まで維持してきた。一方で官房長官は、高金利政策のもとで公共債務を削減するのは氷を拭って水を得るようなものと主張、インフレ抑制のために経済成長を犠牲にするべきではないと主張している。
一九九九年に始まり現在まで続く財政黒字政策は、税収の国内総生産(GDP)に占める割合が三七%に上り、公共投資がゼロに近づく中、限界に達している点でエコノミストらの意見は一致する。
トルコ、アルゼンチンに続き、GDP比が五二%に達する多額の債務を削減するには、政府部門の義務的経費の削減しか道はないとあるエコノミストは指摘。憲法を改正して社会保障政策を見直し、特に管理職を中心に公務員を削減するなど、肥大した政府機関のスリム化がその処方せんだと主張している。
GDPの八%を占める債務の増加原因にもなる高金利について、スタンダード・プアーズのリスク評価責任者のシネラー氏は、中期的に義務的経費を削減すると政府が「信用性の高い」約束を行えば、投資家らの意欲を損なうことなく、金利を引き下げることができると分析する。
ブラジルの国債購入を促進するよりも、インフレ抑制に効果が高い高金利政策だが、急激な引き下げはドル高、消費拡大とインフレ上昇につながる上に投資も減少するため、エスタード紙が取材したどのエコノミストも賛成していない。