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コラム 樹海

 新型インフルエンザへの危機感が高まり世界中が大騒ぎしている。世界保健機構(WHO)を始めカナダで保険相会議を開くなど国際的な取り組みを強化しているが、アジアでは既に64人が死亡し中国でも犠牲者が出るなど予防は極めて難しい。タミフルという抗ウイルス薬があるけれども、各国からの需要が多く不足しているし日本ではこの薬品によって12人が死亡するという事件も起きている▼この薬は通常のインフルエンザにも効果があって世界の消費量の6割を日本が使っている。これを生産しているのはスイス・ロシュ社だけであり、タイ国立製薬企業も来年から製造を始めると決定し―インドやアルゼンチンも同じような方向へ進むと見られる。高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)から人に感染する新型の予防には国際的な対策が必要であり全ての国が手を携えるべきは云うを待たない▼スペイン風邪の恐怖を思い起こす人が多いかもしれない。1918年にスペインで発生した風邪は今のインフルエンザで瞬く間に地球の隅々まで広がった。死者は約4000万人と推定されているが、新しい型が流行すれば、犠牲者はこれを上回ることも予測される。日本でもタミフルの備蓄を高めるなどの予防策を決め、開発途上国への支援にも資金的な手助けを発表している▼アメリカも巨額の予算を組み新型の防疫に力を注いでいるが、この病気ばかりは何処で起こるかも特定できないなど厄介なこと夥しい。今はアジアと欧州・アフリカが手を握って新型インフルエンザを防ぐしかない。  (遯)

05/11/22