2005年11月19日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】ジウマ・ロウセフ官房長官は十七日、パロッシ財務相の緊縮政策に不満をかこつ閣僚らを代弁して、省庁が死に体状態にあるとするレポートをルーラ大統領に提出した。特に不満を表明しているのはフルラン産業開発相、ロセット農地改革相、ロドリゲス農相、ナシメント運輸相、ゴーメス社会統合相など。閣僚らの不満は中央銀行が財政黒字の目標達成を発表した十月末、頂点にあった。大統領は十七日、定例の式典で官房長官の手腕を三度も称賛した。パロッシ財務相については、上院の証言が首尾上々とだけ記者団に告げた。
長期財政計画のズサンさが指摘され、閣内の不協和音が表面化する直前、官房長官は大統領に、財務省が緊縮財政で省庁を窒息寸前まで締め上げたことを報告した。閣僚らは、予算不足で省庁の活動が公約通りに実施できないと、官房長官に陳情の代弁役を懇請していた。
官房長官は経済学者の肩書きを持ち、南大河州の財務長官を務めたキャリアがある。官房長官は、予算交付で優遇されている省庁と予算枯渇で死に体の省庁を熟知している。大統領は経済政策には触れず、財務相と中銀総裁の政策手法に忠告することにした。
九月時点で財政黒字の年間目標を達成したことを中銀が発表した十月、閣僚らは怒り心頭に発していた。その一週間後、官房長官は記者団に不満をぶちまけ、財務相と予算管理相を無能呼ばわりした。
閣僚らはドゥルシ総務長官に予算不足を訴え、窮状打開の仲介を依頼したことがある。庶民階級の住宅政策がはかどらないドゥトラ都市計画相は七月、レヴィ国庫庁長官と激突し、省を去った。
これまでロウセフ官房長官のように捨て身で大統領へ苦言を呈した閣僚はいない。パロッシ財務相は官房長官の直訴直後、大統領が官房長官の批判など歯牙にも掛けていないし、内輪の問題を外部へ持ち出したことで叱責されたとする談話を発表した。
大統領は、経済発展派と経済安定派の確執に悩んでいる。閣僚らにとって問題の本質は、緊縮財政でも予算不足でもなく、聞く耳を持たない財務省と経済スタッフの横暴な独善主義にあるようだ。
バイオディーゼル営業許可の授与式典で行われた大統領のスピーチに微妙な変化が見られた。ここ数日パロッシ絶賛で明け暮れ、パロッシ擁護を期待したグループは、奇異に思ったに違いない。十七日の式典ではロウセフ絶賛に看板が塗り替えられた。式典後の記者会見で大統領は、マスコミは有為な人物をあるときは持ち上げ、あるときは突き落とすと批判した。
財務相に関しては、上院経済諮問委員会(CAE)の証言は上出来とだけ述べ、大統領はコメントを避けた。財務相がCAEでロウセフの批判を「誤り」と糾弾したことで、官房長官は財務相に電話を入れた。「誤り」発言はよく吟味すると同長官は警告した。大統領は財務相を擁護しただけで、連帯したわけではないという。