2005年11月18日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】パロッシ財務相は十六日、上院経済諮問委員会(CAE)に証言のため繰り上げ出席し、CPI(議会調査委員会)召喚を避けようとした。しかし、自由前線党(PFL)やブラジル社会民主党(PSDB)など野党は、同相の証言が期待に反し、方法としては逆効果だと評した。CAEは経済問題に絞り、リベイロン・プレット時代の不正解明はビンゴCPIへ託し、野党は同相の召喚を免れないとした。財務相は要請があれば、いつでも質疑に応じると攻めの姿勢を見せた。証言ではロウセフ官房長官の批判を誤りと糾弾し、長期計画でも政策に変更のないことを同相は強調した。
パロッシ財務相のCPI召喚回避の思惑は、計画通りに行かなかったようだ。野党は、財務相のCPI召喚を布告する決定を下した。ビンゴCPIでは市長時代のリベート問題、キューバ資金の有無、Gtechの不正契約、ソフト・ミクロ社の入札便宜、賭博業者の政治献金について、財務相を徹底追求する。
政界を驚かせたCAE繰り上げ証言は、ロウセフ官房長官との意見対立を中心とする経済政策だけが質疑された。リベイロン・プレット時代の経緯はやがて、国会議員らの辛らつで執拗な質問攻勢が財務相の上に見舞われるはず。
CAEでの財務相証言は、上議とCAE委員に対する冷やかし半分と評価された。また与野党の間で交わされた、政治危機が経済を汚染しないように財務相への対処を一任するとした不文律協定も破棄された。
ジェレイサッチ上議(PSDB)によれば、政治が正常に運営されている国ではこの時点で同相は元閣僚扱いだという。同相に比較的寛容であった同上議は、大統領府の財務相擁護作戦が失策であったと位置付けた。
財務相をCPIに召喚する日時は二十一日に決定される。上程者のガリバウジ・アウヴェス上議(ブラジル民主運動党=PMDB)が、同相のCAE繰り上げ証言はCPIへ事前通告を行わず、マスコミに通告するという変則行動であったと批判した。モラエスCPI委員長が、繰り上げ証言で何も変化は起きないと同相をけん制した。
これまで野党が一目置いていた財務相であるが、CPIの質問攻勢では情け容赦をしないし、CPIの慣習を軽視するなら、同相に対し一切の特別扱いもしないという。事前通告もない抜け駆けは上院のルール違反とした。野党は不意打ちを食ったようだ。
野党の上議らは、財務相の突然出席を決めたCAEを「驚き会議」や「ドタバタ会議」と呼んだ。政府が財務相のCPI召喚を避けるため、電撃作戦に出たと野党は認識した。一方、財務相は、お呼びであればいかなる所へも参上すると攻めの姿勢を見せた。
野党は財務相のCAE証言が二十二日と思い、質疑の準備をしてなかった。議題毎の質疑は通常、前以って打ち合わせ、内容ごとに専門委員会が当たる。CAEはロウセフ官房長官が脇で見守る中、メルカダンテ上議が「各論で納得が得られなければ、総論で納得を取り付ける」と、財務相証言に助け舟を出した。