2005年11月18日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】国連機関のユネスコが発表した二〇〇五年度世界教育白書にある、世界百二十一カ国を対象とした教育内容のランキングでブラジルは七十一位の低いランクに位置した。
ユネスコでは例年、文盲率や就学率、教育の質、偏差値などを盛り込んだ教育開発指数(EDI)を算出して各国と比較しているが、ブラジルは昨年の指数〇・八九九で七十二位だったのが今年度は〇・九〇五と、若干上昇してワンランク引き上げた。しかしこれは児童の数が増えて小学校の入学率が上昇したためで、ほかのあらゆる要素で各国平均よりも低い水準を見せた。
とくに小学五年生の時点での就学率は八十五位にランクされ、アフリカの後進国であるザンビアやセネガルと同水準となった。また落第率もラテンアメリカ圏内で最高で、授業時間の短さと合わせランキングの足を引っ張る要因となった。
授業時間は世界の平均が四時間二十五分から五時間なのに対してブラジルでは平均四時間十五分で、多数の州では四時間未満がはびこっている。偏差値では世界の平均と対照的に男子が女子よりも出来が悪く、落第や中退率が高い。落第率は女子の一八%に対し男子は二五%となった。
いっぽうで成人を含む文盲率でブラジルは世界最悪二十カ国の中に含まれており、ユネスコが目標としている文盲率を二〇一五年までに半減することは至難の業だ。ブラジル政府は現存の文盲千六百万人を五年後に一千万人にして、二〇一五年にはゼロにするとの目標を掲げているが、掛け声倒れになるとみられている。現在世界中で十五歳以上で七億七一〇〇万人の文盲がおり、就学していない児童は一億人に上り、文盲が早急に減少する環境ではない。
世界ランキングのベストテンは順に(カッカ内はEDI指数)、バルバドス(〇・九九四)ノルウェー(〇・九九三)、フランス(〇・九九二)、スイス(同)、フィンランド(〇・九九一)、韓国(〇・九九〇)、ベルギー(〇・九八九)、カザキスタン(同)、ハンガリー(〇・九八七)、エストニア(〇・九五〇)となっている。南米ではアルゼンチン(〇・九六八)が二十七位、チリ(〇・九五〇)が四十一位、ウルグアイ(〇・九三八)で五十位となり、いずれもブラジルよりも高水準を示した。