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コラム オーリャ!

 木に上って野球を見られた頃はよかった――。詩人の西脇順三郎がそんな一文をどこかに書いている、そうだ。
 田舎の野球少年だったわたしもそんな時代を懐かしむ。ついでに言えば、野球帽を被って野山を駆けていた頃はよかったと思う。
 今年の夏は久しぶりに帽子を被ってみようか。炎暑の旧市街を歩いて、帽子屋が連なるセミナーリオ街を訪ねた。同街は楽器屋も密集している。なるほどな、音楽家に帽子はよく似合う。
 一九三五年、ポーランド移民が開業したエル・ソンブレロに入り、試着を開始。サンパウロ州リメイラ市のメーカー「PRALANA」のパナマ帽が気に入った。が大人の男の魅力に欠けるせいか、不釣合いもいいところ。
 インディ・ジョーンズやハンフリー・ボガートを気取っても、いまいち。齢三十、まだ野球帽少年なのかしら。(大)

  05/11/15