ブラジルから日本に出稼ぎに行っている若い人たちの犯罪が話題になっているが、フランスの移民暴動はすごい。警察に追われ変電所に逃げた移民の子が感電死したのを契機として始まった騒ぎは瞬く間に全国に広がり車への放火が4000台を超えた。政府は非常事態宣言を宣言し鎮圧に力を入れているが、暴動の根は深く直ぐには治まりそうにもない▼仏の人口は6000万人だが北アフリカのモナコなどからの移民が500万人もいる。1960年代から労働力の不足を補うために導入が始まり、初めのころは平穏にすぎたけれども、90年代になると低賃金や雇用格差などの課題が生まれ地域によっては騒動も起きるようになる。こうした移民の不満はドイツにもあってヨーロッパ先進国の難しい社会的な一面を物語っている▼仏は「自由と平等・博愛」の国であり、民族・宗教的な差別はないと云うけれども、職場の実体はどうなのか。移民にすれば、給料の安さや失業率の高さもある。仏の失業率は10%だが移民の若者らは20%から30%とされる。こうした不満が噴き出したのが暴動の原因ではないのか。「移民の国」アメリカでさえも、黒人などの抵抗は多いし、政治社会的な難問となっているのは周知の通りである▼日本への出稼ぎにしても3Kであり月給も安い。だが、今年から人口が減少するかもしれないし、近い将来には移民の導入を真剣に検討せざるをえまい。フランスの移民騒動は決して他人事ではないの認識を今こそ強く持つ必要があるのではないか。 (遯)
05/11/12