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懐かし!方言=弁論と芝居=沖縄県人会大いに沸く=大会、洗練されてきた

2005年11月10日(木)

 ちばりよう!(がんばれ)――。沖縄県人会(与儀昭雄会長)が主催する第三回弁論大会とウチナー芝居が六日、同本部で盛大に開催され、約三百人が懐かしいウチナーグチ(沖縄方言)を楽しんだ。
 同弁論大会の金城ジョゼ実行委員長は、「昨年まではウチナーグチだけの弁論だったが、二世ら若者の参加をもよおすために今年からポ語と日本語を加えました」と説明した。
 「コモバイ?というと、ウチナーグチの『くん・ばい?』(なぜ来ませんか?)に聞こえる。ここに居るのに、なぜ来てないのかと言われる」などと、笑いを誘ったのは与儀哲雄さん(66、二世)。
 沖縄方言の二世の部で優勝したのは、諸見里真栄さん(62、二世)は大会に出場するためにわざわざ方言を勉強した。父親が若いときに来伯し、家庭ではもっぱらウチナーグチで会話した。そのおかげで子どもの頃、学校へ入ったときにはポ語がわからず、同級生から笑われたことがある。「立派な日本人にならなくては」と頑張った経験談を語った。
 「なしばなにぐとぅん、ないるくとぅやしが、なさんゆいからる、ならんさだみ」(為せば為る、為さねばならぬ、何事も)の精神で挑戦し、ウチナーグチの大切さを切々と訴えた。
 発表者のなかには、沖縄にいた頃は貧乏で苦しい生活をしていたので、お客さんが来る時は、後の人が食べるからと食べ物を残す習慣があった。「こちらで、そのつもりで料理を残すと捨てられてしまう」などと自らの体験を比較する話しもあった。
 最後には、ボリビア時代の体験談を比嘉トシ子さんが行い、女も虐げられれば蛇になるという迫力のある話で聴衆を圧倒し、見事、方言一世の部で一位となった。その後、各部門三位までに賞状が授与された。
 日語・沖縄方言の審査委員長、山城勇さんは「三年目になり、だいぶ洗練されてきた」と全体を評価した。
 協和婦人会が心を込めて作った沖縄ソバの昼食のあと、ウチナー芝居(具志堅シゲ子実行委員長)が行われた。カーザ・ベルデ支部の「岡の一本松」などの寸劇から、琉球舞踊協会による舞踏劇「馬山川」、八つ目の「面影の母」は約四十分の本格的な悲劇で、来場者の涙をしぼった。
 与儀会長も「将来は、方言とポ語、共通語が混じったようなブラジル独自の劇ができたらいいと思う。夢ですが」と抱負を語った。久々に方言にまる一日ひたり、ハンカチを目にあて、「懐かしいさ」という声が会場のあちこちから聞かれた。
【ポ語】1位=金城ファビオ、2位=喜納ルイ、3位=安慶名栄子【日語幼年】1=宮平テルアキ、2=宮平マサキ【日語一般】1=城間明秀、2=具志堅勤栄、3=大城昌栄【沖縄方言二世】1=諸見里真栄、2=与儀哲雄、3=与儀初太郎【方言一世】1=比嘉トシ子、2=山口栄三、3=比嘉静子。