2005年11月9日(水)
【ヴェージャ誌一九二七号】サントアンドレ市のセウソ・ダニエル元市長の遺体は、同市のサウダーデ墓地でバルサム油浸けにされた。しかし、労働者党(PT)に陰うつな影を落としている。前市長の兄弟二人ジョアン・フランシスコ氏とブルーノ・ダニエル氏は、ビンゴCPI(議会調査委員会)で二カ月にわたり証言を行った。
証言内容は、いつものようにジルセウ氏とジウベルト・カルバーリョ氏が同市で汚職システムの糸を引いたという告発の繰り返し。近く兄弟二人はCPIの要望でジルセウ氏と正面対決を行う。この提案は、ビンゴCPIが尻切れトンボだと揶揄したルーラ大統領にとって悪寒となりかねない。
十月十二日には前市長の検死を行ったカルロス・D・プリンテス医師が遺体で発見され、七人目の犠牲者となった。同殺害事件はミステリーと偽装工作、セックスがからみ、権力闘争とサスペンスに満ち、手に汗を握る展開を見せている。
犯人探しが進むにつれ、二つの犯罪が確認された。汚職の発覚と市長殺害だ。しかし、この二つの犯罪を結びつける決定的証拠は未だ挙がっていない。市長殺害を教唆した決め手もない。同市で汚職が行われ、不正資金が集められたことは疑いの余地がない事実だ。しかし、誰の指示で不正資金を集め、誰が最終受取人かは闇の中だ。
前市長は、ミッシェルと結婚した人妻イヴォーネを愛していた。前市長は離婚した第一夫人ミリアン、イヴォーネと三角関係にあった。前市長の弟ブルーノ氏は疑惑の中心人物セルジオの女友達マリレーナと結婚した。人妻イヴォーネは前市長にとって最後の恋人で、不倫の子をつくりミッシェルに認知してもらった。これらの登場人物は、同市歩行者天国の幼馴染みであった。
検察庁と市警の結論には、矛盾する部分がある。市警は実行犯ジョゼ・エジソンを逮捕、供述と指紋が全て一致したので拉致殺害の一般犯罪で処理した。同事件の取材には、市警の関係者が上司の命令といって必ず同行する。
同事件を検察庁は、殺人教唆と反論した。前市長は死体発見時、パンツ一枚を前後反対にはいた裸であった。犯罪組織では裏切り者の処刑を意味する。前市長の遺体には、一般の犯罪では信じられない殴打のアザと、頭部に拳銃で叩かれた痕跡があった。顔面の止めは復讐を意味し、面相が変形するまで殴打するのは、暗黒世界の辱めの儀式だ。検察は、犯罪の背後に組織の介在があると主張した。
グアルーリョス刑務所からヘリコプターで脱走した前市長拉致犯の一人フェイトーザは、隠れ家で共犯者から前市長殺害は口封じだったと聞かされた。教唆したのは前市長の友人セルジオ・G・シウヴァだと検察庁で供述した。シウヴァは逮捕されたが、証拠不十分で釈放された。同事件の容疑者はその後全員釈放され、平穏な生活を送っている。