2005年11月9日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】米経済がクシャミをすると国際経済は風邪をひくとする説が正しいなら、米公定歩合の引き上げで国際経済は呻き声を上げると、経済学者のセウソ・ミング氏がいう。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、ドルの国際流通量を〇・二五%削減し、公定歩合を年利四%に引き上げた。米国はインフレを二%以下に抑えようとしているが、すでに四・七%に達し続騰中だ。そのため国際金融筋が資産の目減りを恐れている。
FRBが予想以上の公定歩合引き上げを行うなら、国際資本の流れがドル資産へ走るか、ブラジルなどの新興国の債券に向かうため、国際金融市場の弱体化を招くと予想されている。注目されるのは、原油高騰による米国内インフレへのインパクトである。
好調なブラジル経済は豊富な金融資源に恵まれ、資金調達に奔走する人は笑いが止まらない。インフレは鎮静し、失業も減少。公共債務は国内総生産(GDP)の五一%にとどまった。原因は輸出の増加もあるが、国際環境好転の影響がより大きい。国際経済を脅かすものが、いま二つある。米国の双子の赤字と原油不足だ。
FRBが公定歩合を年利五%以上に引き上げると、ドル通貨の流通量が減少、国際資本は安全を優先し動きが鈍る。結果は世界的不況となり、ブラジルの輸出が減少する。
またアジア経済の急激な発展が原油不足を起こし、国際経済の足かせになりそうだ。FRBは節度ある流通量の削減というが、通貨政策のマンネリ化とも見える。FRB理事長が交代したが、慎重手法は不変と思われる。
ブラジル経済は幸い、経済環境の変化に対する体力を養いつつある。ただ一メートル級の波には耐えるが、十メートル級の波が来たら事情は異なる。予測不能の荒波に備えて、財政収支の管理によるブラジル丸の補強は怠れない。