先月催された「サロン文協」は、例年と比較し、イベントとしての〃存在〃を、文協執行部に軽視されたということで、推進役の美術委員会の憤懣は、今月に入ってもまだ消えていない▼年間を通じてもっとも重要な芸術行事が、他へ会場を貸したという理由から、踏みにじられた怒りと(執行部への)失望である。長年、開催にかかわってきた豊田豊美術委員会委員(彫刻家)は、過去にサロン文協開催に際してごたごたは一切なかった、と言う。日程が決まれば、文協ビル内の所定の場所で、なんら支障なく行われてきたのである▼伝統あるこの美術展が一番重要で、同時期のほかの催しは二の次ぎということが、暗黙のうちに、文協運営者の間で徹底していたからだ▼今年は、それにしても酷かった。催しの招待状には、大サロン、一階、二階貴賓室を会場に作品を展示する、と記されていた。にもかかわらず、大サロンは、会期中一度も使用されなかった。展示場は削られて、招待画家の作品を展示する予定も実現されず、貴賓室もほかに貸し出されて閉室された時間帯(会期中のある一日の午後)もあった。ある日は、開場時間が遅れた。遠方から鑑賞に来たのに、そのまま帰った人もいた▼サロン文協は、最近は、日系人だけでなく、非日系人も半数以上出品する。鑑賞客もその割りで多い。展示会自体も公正とレベルの高さから、評価が高まってきているのに、今年の不手際――。猛省して、来年はいつも通りに戻してほしい。(神)
05/11/9