2005年11月5日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】米州機構(OAS)の首脳三十四人を迎えて開催された第四回米州首脳会議は三日、米州自由貿易圏(FTAA)構想を巡り準備部会で何ら合意に達しないまま波乱含みで開幕した。マル・デル・プラッタ宣言第九条の通商箇条で、提唱者の米政府を中心とする二十七か国に対して、メルコスル加盟国の外相らが広範囲市場開放を要求し対立した。さらにベネズエラとキューバ代表は、FTAA廃案を要求。米州首脳会議の結論は、首脳級レベルの討議に持ち越され、暗礁に乗り上げる可能性も生じてきた。
十六カ月間にわたりこう着状態にあったFTAA構想は、第四回米州首脳会議で山場を迎えた。同会議出席の首脳三十四人に難題が突きつけられた。マル・デル・プラッタ宣言第九条は、OAS加盟国に限らず全世界が注目する自由貿易時代への幕開けとなり、先進諸国の急所を突くことになりそうだ。
農産物を含めた広範囲自由貿易を求めるブラジルにとって、第九条は正念場だ。ブラジルの時代が足音を立てて来たりつつある。ここで仕損じるなら同宣言は空文化し、末代に悔いを残す。メルコスルの四代表は孤軍奮闘し、必死の攻防を試みた。
同準備部会は、米国勢を中心とする二十七カ国とメルコスル四か国、ベネズエラとキューバ、ボリビア三カ国による三つ巴戦であった。最後に、ベネズエラ代表の「全員クソ食らえ」発言で終了した。
収拾策としてルーラ大統領とキルチネル亜大統領は、世界貿易機関(WTO)が進めるドーハ・ラウンドを考慮に入れて、伯亜米首脳会談の設定を打診した。亜大統領は四日、ブッシュ大統領と会談。伯大統領は六日、ブラジリアで公式会談に臨む。メキシコで二〇〇六年四月に米州首脳会議とFTAAの詰めを行うというもの。
一方、ブッシュ米大統領の南米外交は不評のようだ。米大統領は四日、民主化と経済発展で米州の首脳三十三人に説得外交を展開。米州首脳会議は九五年に第一回会議を開催して以来、目覚しい成果はない。今回のマル・デル・プラッタ会議が不発に終わるなら、米国とラテン・アメリカの間に修復不可能な溝を作ることになりそうだ。
米政府の民主化運動に異論をはさむ国はないが、国家主権の取り扱いと内政干渉で頓挫することになる。前例を挙げるなら、ニカラグアやエクアドル、ベネズエラがそれだ。調査によれば、ラテン・アメリカ諸国の有識者の八六%が、米政府のテロ対策と、国際慣習を無視する一方的なブッシュ政治に不快感を示したという。
米州は全ての国が米国に経済的に依存している。しかし内心不満を持する国は多い。米大統領によるルーラ大統領の手腕評価発言もその一つだ。米州首脳会議に関する米大統領の意思表示はまだない。しかし、各国に対する報復的措置は追ってあり得る。特にベネズエラに対する包囲作戦は容易に想像される。