2005年11月2日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】マッド・グロッソ・ド・スル州で発生した口蹄疫で全国の畜産業界がパニックに陥るとともに、世界四百十七カ国から牛肉輸入のボイコットを受けて輸出業界は打撃を被り先行き不安を呈したが、農務省は予防接種の新型ワクチンの開発に成功した。これによる予防接種が一日から全国で実施された。これによりロドリゲス農相は感染の終結を宣言し、発生地区以外の牛肉輸入の解禁を各国に呼びかけるとの姿勢を示した。いっぽうでサンパウロ州衛生局は州内の検疫ですべてシロだったとの結果を発表した。サンパウロ州は全輸出の七〇%を占めており、口蹄疫の疑惑が晴れたことで、輸出再開の目途が立ち、愁眉を開いた形となった。
レシフェ市の病理研究所は口蹄疫に感染した肉牛のサンプル分析を行っていたが、ようやく原因のウイルスを突き止めた。これを基に農務省では予防接種の新型ワクチンの開発に成功し、一日から全国に配布して予防接種を実施した。
農務省によると、このワクチンはウイルスに対する抗体を形成し牛の体内でウイルスを撲滅する作用があり、効果は九十八%に及ぶという。予防接種は十一月三十日までに全国一億九七八〇万頭の牛のうち、八十%に相当する一億六一二〇万頭および一〇〇万頭のバッファロー(全体の九七%)を対象に行われる。これらの肉牛は定期的に予防接種をうけているものもあるが、それに加えて新型ワクチンが接種される。
これをうけてロドリゲス農相は三十一日、「危機は乗り越えた」として感染終結を宣言するとともに、各国の輸入禁止解除に向けて働きかけていくとの強い姿勢を示した。
マット・グロッソ・ド・スル州で口蹄疫が確認された十月十日から約一週間で、エルドラド市内の牧場で計一一〇九頭がと殺処分にされ、隣接のジャボラン市では一牧場の七九〇頭が処分された。しかしその後、新しい感染が確認されていない。同州政府は引き続き近隣五市を封鎖して出入りを禁止している。
いっぽうでサンパウロ州衛生局は、パラナ州で口蹄疫の疑いが出たことで、同州から購入された二〇六九頭を追跡検査したが、いずれも感染症状がなくシロと断定した。これらは州内四十一市の五十七牧場で飼育されていた。
さらに同局はパラナ州とマッド・グロッソ・ド・スル州との州境に検問所を設置して、動物の州内立入を禁止するとともに、畜産フェア―、販売の入札、ロディオなどの参加を禁止した。サンパウロ州は全国の牛肉輸出の七〇%を占めていることから、州当局はこれまでの検査報告書と対策の趣意書を農務省に搬出し、州内からの輸出につき各国の禁止の早期解除を求めた。
パラナ州で採取されたサンプルはベレン市の病理研究所に送られたが、量が少なく分析できないことが判明し、再度採取が始まった。同州の畜産業界は農務省の不手際にいらだちを隠せず不満を表明している。