政党の実力がこれほどまでに強いのか―と思う程に凄まじい。云うまでもないが自民党の所属議員処罰の物凄さに驚いている人は多い。綿貫民輔元衆院議長や亀井静香氏ら9人は除名されたが、次には野呂田芳成元農相も除名となり10人が、いわば自民党から追放されたのである。小泉首相が政権を賭けて闘った郵政民営化法案に反対したために受けた罰だが、これまでの政界常識では考え難いほどの重く厳しい処罰と云っていい▼まだ―ある。堀内光雄、平沼赳夫、野田聖子、保利耕輔、藤井孝男各氏ら実力者を含む26人と参院の1人が「離党勧告」を申し渡された。これは離党届けを出さなければ除名しますの処分である。恐らく、堀内氏や野田聖子氏にしても、党内での処分は覚悟していただろうが、これほど厳しいとは考えていなかったに違いない。このほかにも参院議員の処分があるし、こんな大量処分は自民党が始まってから初めてである▼自民党には、これまでにも内部での闘いはあった。角福戦争が典型的なものであり、それは派閥の闘争でもあった。総裁選挙ともなればカネが飛び交ったの話もあれば、次は君を閣僚にするの呼びかけも政界を走ったりもする。自民党50年の歴史には、悪徳議員への除名もあったけれども、今回のような多くの人々を厳罰処分というケースはない▼このような党執行部の力の強さは、これからも間違いなく続く。小選挙区が政界にもたらした影響なのだが、この執行部権力の使い方を一歩誤ると大いなる危険を生むことにもなる。 (遯)
05/11/1