2005年10月29日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】今月行われた通貨政策委員会(COPOM)の定例会議の議事録が二十七日に発表された。これまでは基本金利(SELIC)に関し、一般の期待とは裏腹に不透明な要素が含まれていたが、今回は一転して引き下げの方向性を打ち出したことが注目された。金利引き下げのネックとなっていたインフレについても、十月はインフレで推移するものの一時的現象で、歯止めがかかったとの楽観的見方を初めて示した。世界的不況やアメリカの財政赤字、ハリケーンの影響などで環境は芳しくないものの、ブラジル経済の金融動向は順調に推移するとの見方を示した。
議事録によると、インフレについてはガソリンなどの燃料価格と食糧の供給不足による物価高騰で、十月の広範囲消費者物価指数(IPCA)は上昇し、過去五カ月間続いたデフレから一転してインフレになるものの、それは一時的な現象だという。カリブ海のハリケーンの被害で国際原油相場の高騰は続くものの、国内での年内の燃料価格の値上げはあり得ないとみている。また工業などの国内生産は、年内は減少傾向で推移するが、インフレには何ら影響しないとの楽観姿勢を示している。
国際経済動向については、アメリカの不透明な金利政策および国際原油価格の高騰により依然流動的だが、ブラジル経済の金融面には逆に追い風となっているとし、経常収支も記録的伸長を遂げて九月までの過去十二カ月間の輸出が一一二〇億ドルと未曾有の実績を達成したのがこれを如実に物語っていると指摘した。
これを受けて中銀筋は、八月までの五カ月間、インフレ査定の指標となるIPCAがデフレを記録したことで、SELICのドラスチックな引き下げを要求する動きがあったが、COPOMは慎重な態度を取ったと分析している。このため九月に〇・二五%、十月に〇・五〇%の引き下げを敢行して現在の年率一九%とした。
しかし今回の議事録から見て、十一月にさらに〇・五〇%引き下げられるのは確実と見られ、十二月にも同様の引き下げが行われて、年内に年率一八%になる可能性は高いと予想している。金融アナリストらは、八月には一八%に到達し、年内はこれで推移するとの予測を打ち出していたが、四カ月遅れの実施となる。
インフレについて中銀関係者は、産業界の景気の冷え込みで物価の目立った上昇はあり得ないと見て、さらなる金利引き下げでも政府の年内目標の五・一%は達成できるとの見通しを立てている。さらに来年は四・六%から四・八%と見られ、政府の目標四・五%(上下誤差許容〇・二%)も達成可能と予想している。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)が発表する総合市場物価指数(IGP―M)は九月二十一日から十月二十日までの一カ月間に〇・六%のインフレを記録した。この上昇の半数はガソリンなどの石油精製品の値上げに起因している。このほか口蹄疫による精肉不足からくる牛肉値上げも原因となった。それ以前の一カ月は〇・五三%のデフレだった。
しかし十月のインフレは一時的なもので、これから年末にかけて下降して今年の年間指数は二%以下に収まり、統計が始まった一九八九年以来の最低値が達成できる可能性を秘めていると期待されている。これまでの最低は九八年の一・七八%となっている。