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銃器販売禁止は「ノン」=国民投票=反対派、63%と圧勝=治安対策への根強い不信感噴出=ルーラ政権への反発も

2005年10月25日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】銃器類や弾薬の販売禁止に国民は「ノン」の審判を下した。世間で白熱した論議を巻き起こした販売禁止の是非を問う国民投票が二十三日、全国で一斉に行われた。その結果、販売禁止に反対が六三・八九%と予想外の絶対多数で、関係者はもとより国民も一様に驚いている。賛成票は三六・二%にとどまった。これを受けた関係者らは、政府の治安対策の欠如に対する不信感が噴出した証だと指摘し、野党筋は国会スキャンダルを隠ぺいしようとしたルーラ大統領への反発であり、手痛い黒星は来年の大統領選挙に影響するとの見方をしている。反対票は全国で押しなべて上回り、事前の世論調査で唯一賛成が上回るとされた北東部でも反対派が制した。サンパウロ州で反対が上回った市はわずか二市にとどまった。
 国民投票は二十三日午後五時に締め切られ、即日開票の結果、同日午後十一時三十分に九九・〇九%の開票を済ませた段階で反対が六三・八九%と、賛成の三六・一一%を大きく引き離した。それまでの投票総数は九四六〇万票で、反対が五八五〇万票、賛成が二五四〇万票だった。
 棄権率は二一・七%で、通常の統一選挙の平均一四%を上回った。十八歳以下及び七十歳以上は投票義務から外されたのと、アマゾン流域では川が干し上がりカヌーなどが使用できず唯一の交通手段を失い選挙が中止になったことを加味しても棄権が高率を示し、国民の無関心を反映した。
 事前の世論調査では九月半ばの時点で賛成派が優位に立ち、販売禁止の法令化を推進する政府を喜ばせたが、その後反対派が巻き返し、先週は反対が過半数を若干上回った。それでも賛成派に逆転の可能性は秘められていたが、いざフタを開けると大差がついた。勝利を信じて疑わなかったバストス法相もショックを隠し切れず、「結果は真しに受け止める」として今後の対策を検討するとの立場を表明した。
 これに対し関係者らは、反対派の圧勝は自己防衛の意思の表われであり、いかに国民が当局の治安対策に不信感を募っているかが露呈したもので、今後政府は名誉挽回のためにも確固たる治安対策と、密輸による銃器販売取締りを強いられるとの見方を示している。また野党側には、汚職の政局スキャンダルに続く政府の黒星続きで次期大統領選挙でのルーラ再選はおぼつかないとの声もある。国民の間では今回の選挙は政府のイニシアティブの失敗により、国民に責任を押しつけようとしたものだとの批判も出ている。
 反対は全国二十七州すべてで上回った。北部は反対と賛成が七〇・六三%対二九・三七%、中西部では六八・五一%対三一・四九%、北東部は五七・四七%対四二・五三%、南西部は六〇・三一%対三九・六九%、南部は七九・五九%対二〇・四一%だった。サンパウロ州では五九・五六%対四〇・四四%、棄権は一八・六八%に上った。
 世界でも類を見ない国民投票は世界中のメディアにより報道された。NHKの海外向ワールド・プレミアムも二十四日付で報道し、CNNはブラジルの銃器による死亡は年間三万九千人に達し、人口が一億人多いアメリカの三万人より死亡率が高いとの注釈もつけて報道した。
 販売禁止の取り止めにより、二〇〇三年十二月に制定された銃器追放令が引続き適用される。これにより連警の許可のもと、銃器の所持は認められるが、警備員などの特定者以外の持ち歩きは禁止される。