インターネット犯罪が急増=口座番号盗み、引き落す=今年1―9月で前年の7倍
2005年10月25日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】インターネットの普及で金融機関とくに銀行業務の操作を家庭内で済ませる人が多くなり、好評を博しているものの、これを悪用する犯罪が急増している。
他人のインターネットに侵入するいわゆるハッカーの巧妙さではブラジルは世界でも長じており、次々と犯罪の新手口を生みだしているのが実状だ。国内銀行連盟によると、インターネットで銀行口座の暗証番号を盗み出し、他人の口座から預金を引き落す犯罪はこの一年間で六八八%と約七倍に急増したという。
犯罪者はインターネット上で、注意を引く文言のEメールを送りつけて交信を始め、巧みに秘密事項を盗み出すことから、トロジャンスあるいはトロイの木馬と呼ばれている。なかでも金融機関を称して被害者に支払い滞納や不渡りでブラックリストに名を連ねていると慌てさせ、暗証番号を聞き出す手口が多い。このほか自動支払機にチップをはめ込み、カードの中身を撮影する犯罪も増えている。
これらは機械を維持・処理する仲間を引き込むなど、大所帯の一味の仕業となっている。彼らは本人の知らぬ間に銀行の預金口座から引き落し、他の名義の口座に送金する。ほとんどが当局や銀行の目をくらますため他州の別銀行に送金している。またクレジットカードも同様の手口で偽造し、買物や支払いに当てるなどしている。
同連盟によると、今年一月から九月までで、この種の被害は一万八四四三件となり、昨年同期の二三四〇件の約七倍に達したとのこと。被害額は三億レアル以上となるが、公にしない被害も多数あり、実数はさらに多いとみられている。
銀行では被害にあった場合、調査後に賠償している。中には一度に六十件の被害にあった銀行支店もある。このため暗証番号に加え、特別コードを設けて犯罪防止に取り組んでいる銀行もある。
ブラジルのハッカーは世界的に有名で、犯罪はアメリカやスペインの三〇%増となっている。国内ではこれら犯罪者の特別な刑法がないため、逮捕されても刑期が短いため再犯を繰り返す専門家が多く、手口もますます巧妙になっている。このため銀行連盟では刑法の見直しを当局に求めている。