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土俵際に立つジルセウ下議=来週にも運命決まる=「不正資金の張本人」と倫理審=大統領も下議に見切り

2005年10月20日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ジルセウ下議(前官房長官)の労働者党(PT)内での不正資金疑惑を追求してきた下院倫理審議会の議事録をとりまとめて報告書を作成したデルガード下議は十八日、審議会に提出した報告書の中でジルセウ下議が一連の不正資金の張本人だと決めつけた。これにより審議会で表決に付された後、来週にもジルセウ下議の議員権はく奪が国会に上程される見通しとなった。いっぽうでジルセウ下議は、審議会の決定を無効とする訴えを連邦最高裁に起こしており、この判決が一両日中にも下される。審議会長はこの判決を待ってから審議会の結論を出すとの立場を取っているが、司法が行政にどれ程介入できるかも今回の一連の問題の中で注目されている。
 倫理審議会の報告書はメンバーの総意とみなされる権威のあるもので、クロの断定は報告書作成を担ったデルガード下議の胸先三寸にかかっていた。デルガード下議は十八日に提出した六十二頁に及ぶ報告書の中で、これまでの審議で、PT不正資金を操作した張本人はジルセウ下議だと決めつけ、当時のPT党内および政府の実力者としてその立場を利用し、他党の買収を画策して実行した罪は大きいと断定した。
 これにより当時のPT財務担当のソアレス氏や、広告代理店経営者のヴァレーリオ氏を介してミナス銀行やルラル銀行をはじめ一部の業者に利益をもたらす便宜を計ったとして、議員として無責任かつ不法行為をもって国会の信用を著しく失墜させたと位置づけた。これにより議員権はく奪は正当な措置だと結論づけた。
 これを受けて倫理審議会のイザル会長(ブラジル労働党=PTB)は、報告書に目を通すには時間が必要として、二十一日に審議会の報告書に対する賛否の表決を行うことを決定した。報告書は総意に基づいたもので表決は形式的に過ぎないことから、ジルセウ下議の議員権はく奪動議は揺ぎないものとなった。
 これにより来週中には国会決議が行われると見られ、約五カ月にわたったジルセウ前官房長官の疑惑に断が下され、前長官の運命が決まる。議員権がはく奪されると二〇一五年までの参政が禁止される。表決は先のジェフェルソン下議と同様に無記名投票となる。
 いっぽうで国会消息通は、ルーラ大統領は近来のジルセウ下議の言動に不快感を抱き、同下議に見切りをつけて今後支援を断ち切るとの憶測をしている。来年の大統領選挙を控えて一日も早い政局安定を願望している大統領だが、ジルセウ下議の言動は目の上のたんこぶに映り、しかも今回告発されたPT疑惑議員五人がこぞって倫理審議会と争うことを表明したのは、ジルセウ下議の説得と指金だと見ている。大統領はこの五人に対し議員辞職させてスキャンダルに終止符を打つ方向で工作してきたが、裏切られた形となった。
 ジルセウ下議は審議会の決定を無効とする訴えを連邦最高裁に行った。同下議の言い分は、問題発生当時は官房長官に就任したため、国会では停職扱いで籍がなく、国会議員として裁かれる立場にないというもので、人身保護令の適用を求めている。最高裁では十人の判事により一両日中に判決を出す。審議会のイザル会長は、司法が行政に介入しないよう望むとコメントしている。