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疑惑議員11人が真っ向勝負=辞職は2人のみ=倫理審で徹底抗戦へ=落胆隠せぬ大統領

2005年10月19日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】郵便局汚職事件と労働者党(PT)不正資金に関連した疑いで国会法務委員会で告発され、倫理審議会で議員権はく奪の是非を問われることになった十三議員のうち、十一議員が同審議会で真っ向から争うことになった。議員権をはく奪されると二〇一五年まで参政できず、倫理審議会の追及から逃れるためには同審議会が開会する十七日までに議員辞職届を提出しなければならなかったが、結局辞職届を提出したのは二議員にとどまった。うち一人はPT党員だった。政府と与党PTは疑惑議員六人を、来年の選挙で党公認として支援し、返り咲きを果すことを条件に議員辞職させて一連のスキャンダルに終止符を打つべく工作してきたが、徒労に終わった。ルーラ大統領は外遊先で、「辞職したのは(PTの中で)一人だけか」と落胆したという。
 疑惑議員と名指しされた十三人はこぞって、国会法務委員会の決定は証拠不十分だとして連邦最高裁に無効を訴えたが、却下された。これにより議員辞職届の期限だった十七日、パウロ・ロシャ議員(PT)とボルバ議員(ブラジル民主運動党=PMDB)の二議員が辞職届を提出した。
 残り十一議員は身の潔白を主張し、倫理審議会で争う立場を取った。これによりもはや議員辞職の機会を失った。これら議員は一様に、「議員辞職すると不正の非を認めたことになる。倫理審議会でクロと断定された場合は違法として訴える」と、あくまでも闘う決意を示している。さらに議員権はく奪には国会議決で二百五十七票の賛成票が必要だが、これを打ち破り否決に持ち込むとの自信をほのめかしている。
 いっぽうで、大統領府のプラナルト宮とPT党内では失望とショックの色を隠せないでいる。プラナルト宮はルーラ大統領の意向もあり、一連のスキャンダルに終止符を打つためには疑惑議員のうち六人を占めるPT党員を議員辞職させるのが得策だとの意向を示していた。これを受けてPT執行部は六人に対し、今回の議員辞職の見返りに、来年の下議選に党公認として全面的に支援することを打ち出した。
 この決定にはジェンロ前PT総裁が断固として反対、挙句の果てに党執行部から去り党内分裂のきっかけとなったおマケまでついた。結局は政府とPT執行部の思惑は完全に裏切られた。
 先般就任したレベロ下院議長が倫理審議会での十一人の審議を個別に一人ずつ行う方針を打ち出したことで、審議には時間を要し、議員権はく奪是非を問う国会議決は来年の三月か四月になると予想されている。この時期は来年の選挙の告示と重なり、再選を狙うルーラ大統領と与党議席の確保を念願しているPTにとっては大きな障害となる。
 今後倫理審議会で追及されるのはPTがクーニャ前下院議長を含む五人、進歩党(PP)が四人、自由前線党(PFL)と自由党(PL)がそれぞれ一人となっている。
 九〇年代から現在まで十一人の議員がスキャンダルで辞職したが、このうち四人が政界に返り咲いて現在に至っている。この中には実力者として知られるアントニオ・カルロス・マガリャンエス上議も含まれる。同上議は二〇〇一年に汚職に関連して辞職したが、翌〇二年には地元バイアで二百八十万票を獲得して再選された。今年に入ってからは三人が辞職したが、中でも注目を浴びたのはセヴェリーノ・カヴァウカンチ前下院議長で、議員食堂経営者から賄賂を受け取った責任を取り、議員を辞職している。