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伯産牛肉の輸入禁止=EU=防疫体制整うまで=ロシア、南米諸国も追随へ=サンパウロとパラナ州の牛肉も

2005年10月14日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】マット・グロッソ・ド・スル州で肉牛の口蹄疫の発生が確認されたのを受けて、ヨーロッパ連合(EU)は緊急会議を開き、当面ブラジル産牛肉を輸入禁止にすることを決定した。EU諸国二十五カ国に加えイスラエルと南アフリカも同様の決定を下し、これにより二十七カ国が輸入禁止の措置を取った。さらにロシアと南米諸国四カ国も追随する構えを見せている。EUは決議の中で定められた防疫や検疫を満足に行っていないとブラジルを糾弾するとともに、今回の口蹄疫発生も報道によって知ったとして、ブラジル当局から速やかな公的報告がなされなかったとの不満を表明した。ロドリゲス農務相は現地におもむき原因解明と対策に追われている。大統領就任後七十四回目となる外国訪問をしているルーラ大統領は、新たに生じた今回の問題に多くの時間を割かれる破目となった。
 口蹄疫の発生を報道で知ったEUは、ベルギーのブリュッセル本部にブラジルの関係者を呼んで事実確認をした後、緊急会議を開いて、参加二十五カ国の即時輸入禁止を決めた。ブラジルでは、感染に影響がないとみられる他州の牛肉輸出に支障は出ないと踏んでいたがその楽観姿勢は見事に裏切られ、主産地のサンパウロ、パラナ州も含まれた。
 輸入禁止は九月三十日にさかのぼり、この時点以降に生産されていたものが全て対象となり、すでに船積されたものは返品されるという厳しい措置となった。しかし一部の国では牛肉の供給不足を懸念してエスピリト・サント、サンタ・カタリーナ、ゴイアス、一部のミナス・ジェライスおよびマット・グロッソの各州を除外している所もある。
 EUは決議の中で、ブラジルはEU本部が規定した衛生、防疫、検疫の条件を満たしておらず、これが今回の口蹄疫発生につながったと非難するとともに、輸入禁止は消費者保護のためで、保護貿易などの政治的思惑は一切ないとの声明を発表した。さらに、ブラジルは牛肉の最重要供給国であり、EUはブラジル産牛肉を「当て」にしているとして、ブラジル側が改善して万全な体制になった時点で輸入禁止の解除にいつでも応じる用意があるとの考えを示した。
 EU二十五カ国の輸入枠は二二万四〇〇〇トンで、これにイスラエル(一七トン)、南ア(九三〇〇トン)に加え、輸入禁止に踏み切るとみられるロシア(二〇万トン)、チリ(五万七〇〇〇トン)、アルゼンチン(五三トン)、パラグアイ(四六六トン)、ウルグアイ(三三八六トン)を加えると、被害は甚大となる。
 口蹄疫が確認されたエルドラド市のヴェゾーゾ牧場では、感染した百四十頭を含む、飼育されていた五百八十二頭と養豚七頭をと殺し、土中に埋めた。モデル農場を自負する同牧場では公的機関による予防接種を定期的に行っており、その証明書もあり、疫病は外部から侵入したとして州や国の防疫体制の不備を原因とみなして損害賠償を要求する構えをみせている。州当局も言い分の一部を認めながらも賠償に応じる予算がないと顔をしかめている。
 視察で同牧場を訪れたロドリゲス農務相は、病理研究所に回したサンプルの分析結果を見て対策を検討するとしながらも、パラグアイ当局と国境から二十五キロに及ぶ両国の領域で予防接種と検疫を徹底することで合意に達したことを明らかにした。加えて今回の口蹄疫発生は起こり得るべくして起きたとして、先週同相が見解を示した農業部門への予算配分不足、経済政策の欠陥を改めて強調した。
 これに対しルーラ大統領は、同農務相の発言に理解を示しながらも一連の批判に釘をさしたと伝えられている。ルーラ大統領は十二日、就任後七十四回目となる外国訪問に、通称ルーラ航空の大統領専用機でポルトガル、イタリア、ロシア訪問の途についた。大統領は今回の問題で、各国に口蹄疫の発生していない州の牛肉輸入の継続を訴えるとの姿勢を強調した。とくにロシアのプーチン大統領とは最重要案件として輸入禁止を回避するよう説得したいとの意向を示した。