日蓮が亡くなったときは秋だった。なのに、春の花が空から降って来たという。ガルシア・マルケスの小説の一場面ようだ。一二八二年の十月十三日のことである。
その命日を控え、サンパウロ市の法華経寺で法要があった。昨年十月に開設された寺は、サンパウロ市ラザール・セガール美術館に隣接する建物を借りている。
集まった信徒は約三十人。日本からの開教師は「最初はたったの五人でしたから。この一年で六倍に増えました」と、朗らかな笑顔で語った。
メガ・ミサなどと、新興宗教による数万人規模の大集会が話題になりがちな昨今にあって、伝統ある既成仏教がささやかなに執り行っていた法要の様子が新鮮に映った。
終了後は小さな中庭にテーブルを並べて午餐会。けんちん汁やおにぎりが供された。空からは、もう夏の日ざしが降り注いでいた。 (大)
05/10/11