2005年10月8日(土)
日本滞在中のペルーのフジモリ元大統領は六日に都内で記者会見し、来年四月の大統領選に出馬することを正式に表明した。共同通信が報じた。ペルー国内主要メディアも七日、大きく報道。ほぼ全紙が一面で取り上げている。
反フジモリ論調の強いペルーの代表紙『エル・コメルシオ』は「フジモリを待っているのは裁判だけ」と見出しを掲げた。中立の立場を守る『ラ・プリメーラ』紙は日本からの立候補の可能性も挙げ、コラムで「フジモリの存在が大きくなっているのは、現在の政治家のせい」と断罪、様々な見方が国内メディアを賑わせている。
ペルー在住のジャーナリスト、三山喬氏は「沈黙していたメディアもトレド政権半ばから、フジモリに好意的な立場をとっているようだ」と反フジモリ一色だった以前との違いを挙げ、「国内メディアが二分化している」と指摘。
フジモリ氏は現在、軍隊が市民を虐殺した事件をめぐり国際手配されており、帰国すればペルー当局に逮捕される可能性もあるが、年内に弁護士を通じて裁判所に申請を行う考えだ。
この件に関し五日、トゥデラ法相は日本政府がフジモリ氏の送還を拒否するのであれば、日本国内での訴追を求める考えを示唆。国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)に身柄引渡しを求め、年内に提訴すると表明している。
時事通信によると、フジモリ氏は、政界復帰に意欲を見せ、「不可能と思われるかも知れないが見ていて欲しい。戦略もある」と自信をのぞかせているという。
国会で十年間の公職追放を決議されているが、最終的な判断はペルーの全国選挙評議会(中央選管)に委ねられている。
日系社会の動きについて、三山氏は「(バッシングの激しかった)亡命直後に比べれば、ここ数年フジモリ支持を表明する日系人は増えてきているようだ」と本紙の取材に答えた。