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若者の借金未払い急増=「一家の柱」上回る=ブラックリストの4割にも=金融機関で融資金だぶつく

2005年10月7日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二日】不良債権いわゆる借金の未払いが三十歳未満の若者の間で急増している。サンパウロ州商業連盟の調査によると、九月五日の時点で二十一歳から三十歳までの年代の未払いは三七%となり、それまでの一家の柱として家計をやりくりする際に未払いを生じ、トップの座にいた三十一歳以上四十歳以下の年代の三三%を上回る結果となった。また未払いの末に告訴され、ブラックリストに名を連ねたのが四三%に達した。同連盟では銀行や金融機関が史上空前の利益を上げ、融資金がダブついていることから貸付やクレジットを若者や低所得者を対象にしたことが原因とみている。これにより衝動買いや安易な月賦支払いに応じたこの階層が、金のやりくりの未熟さから管理できずに音をあげるという実態が浮き彫りとなった。
 若者の不良債権はここ二年間で急増している。それまでは三十一歳から四十歳までの一家の柱となっている年代層が不払いのトップを占めていた。この年代は二〇〇二年九月で四〇%、〇三年九月は三六%、〇四年三月は三六%とトップを維持してきた。三月期は十二月から一月にかけての休暇シーズンで家族旅行などの出費に加え、年初に税金の支払いが集中するため、いわゆる家計のピンチの月となっている。
 これに対し二十一歳以上三十歳未満の若者層の未払いは、〇二年九月に四〇%と並んだが、〇三年九月は三六%、〇四年三月は三一%へと減少した。しかし〇四年九月は三九%となり、一家の長の年代の二九%を大きく引き離した。今年三月は前述の理由から三五%対三三%で若者層が少なかったが、九月の時点で三七%対三三%と、再度トップに立った。
 この時点で若者のブラックリストが四三%を占めた。四十一歳以上五十歳未満の年代がこれに次ぐが、〇二年九月は一三%、〇三年九月一六%、〇四年九月一八%、〇五年九月一七%と、二〇%前後となっている。この年代は突然のリストラで失業して支払い不能に陥ったとみられている。
 いっぽうで全国銀行連盟によると、大学生などの苦学生を対象とした〃学生口座〃が設けられてから二十年が経過したが、それまではさほど活用されなかったのにここ二年間で利用頻度が急増しているという。企業や大口利用客が高金利のため融資を敬遠している中、銀行の融資金がダブついたため、低金利を唄い文句に若者や低所得者の顧客獲得合戦が熾烈化した。このため顧客の信用調査もおざなりとなり、過去にブラックリストに載ったことがあっても少々のことは目をつぶる傾向となり、これが支出管理に未熟な若者の不払いに発展したとみられている。
 中でも、クレジットカードの利用が急増し、複数のカードを限度枠いっぱいまで見境なく使用した挙げ句に元金の数倍に及ぶ金利に追われる〃金利地獄〃に陥る破目となる。大手クレジカード会社によると、若者層の一四・六%はカードを使用し、二〇〇二年から二〇〇四年にかけて十八歳から二十九歳までの年代の利用者は二・九%増加した。ブラジルの今年のカード利用は一二七〇億レアルの規模に達し、昨年比一八・八%増となり、二〇〇一年以来の最高記録が見込まれている。この利用者の大半が若者層に集中しており、さらに今後増加する傾向にある。
 これに加えて商店の低価格の長期月賦支払い方式が若者らの衝動買いに拍車をかけている。〇三年八月には月賦払いは平均九回だったが、今年の八月は十五回となった。さらに若者層の人気商品、コンピューターやDVDなどは二十四回払いも出現して気をひいている。
 これを裏付ける一例を挙げると、二十歳の女子大生は破産宣告寸前にまで追い込まれている。彼女はこれまでに振り出した三十枚の不渡り小切手のほか、複数のカード会社、銀行、金融会社、商店に対し給与の十倍以上の債務に追われている。その七〇%が金利支払いだ。
 彼女の給与は四〇〇レアルだが、シェッケ・エスペシアル(特別小切手)の限度が八〇〇レアルまで認められたことで、限度を超えたカードの穴埋めに小切手を乱発した。大学生口座を利用して複数の銀行から最高限度枠までの融資を繰返し、借金返済に充てる自転車操業をしてきたが、焦げ付きにより遂に新たな融資が受けられなくなり破局を迎えた。家族は何も知らず裁判所の差し押え通知で始めて不始末に気がついたという。