2005年10月7日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】行政監督官(フィスカル)になりすまして不法な罰金を科すとおどかし、黙認する代わりに金品をだまし取る犯罪の手口は長い歴史があるが一向に衰えず、相変わらず被害が続出している。サンパウロ州商業連盟によると、個人商店や小企業、レストランなどで最近被害が急増しているという。
被害にあっても後で揉め事をおそれたり、後ろめたい事実があることから公表しないケースが多く、それがニセ監督官のつけ目となっている。ニセモノは一見して役人風の服装をして監督官の偽証明書を所有しており、高学歴が多いため弁論が達者で容易に化けの皮がはがれない曲者ぞろいだ。
同連盟では監督官が現れたら必ず身分証明書の提示を求め、所轄官庁に連絡して真偽を確かめることが第一歩だとしている。法律では捜査なり検査の際は証明書を提示することが定められている。また本物の監督官は検査命令書や捜査令状、告発文書などを所持しているため、予めその提示を求め、来訪の目的を把握するのが肝要。
品物の持ち出しを言い渡された場合は押収書類と保管書類の発行を要求すること。大半の例だと、本物の監督官はすぐ罰金を科せず、猶予期間内に不備を改善するよう指導する。罰金を持ち出した場合は疑う必要がある。また罰金はその場で支払う筋のものではないことを念頭に入れるべき。同連盟では十月にこれら監督官と接する方法やニセモノを見分けるセミナーを開講する。
とにかくあわてずに毅然とした態度で応対すること。これで被害を免れた例をあげると、市内で日本食レストラン「テンダイ」を経営しているジュリオ・シミズさんの店に保健衛生の監督官と名乗る男が来店した。シミズさんは証明書の提示を求め、従業員に市当局に確認させた。その名前の監督官は実在した。(後で判ったが実在の人物の名で偽証明書を作成したもの)その監督官は二万レアルの罰金だと脅し、裏取引を匂わせた。そこでシミズさんは毅然として動ぜず、「罰金を科しても良い、その代わり裁判で争う」と言い放った。偽物はあわてふためき、「明日また来る」の言葉を残し立ち去った。それ以後、二度と店には現れなかった。
また、別の小企業経営者のもとには一週間に三本ないし四本の電話が入り、検査の目こぼしをするから毎月四〇〇〇レアルの供出金を要求してくるという。この経営者もやましい事は何もないとして断った。両経営者とも書類を完全にそろえ、監督官につけ入る隙を見せない日頃の配慮が必要だと力説している。