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農業界は深刻な危機に直面=ロ農務相が訴え=政府支援、資金不足で収穫減=一部産品は来年も輸入へ

2005年10月6日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】ロドリゲス農務大臣は四日、スイスのチューリッヒでブラジルへの投資セミナーで演説し、世界で冠たる農業大国を自負するブラジルで、農業界は近年まれに見る危機に直面しているとの認識を強調した。現在直面している外為相場、予算不足、高金利が改善されない限り、早くて来年には農産物の輸入国に転じるだろうとの見解を示した。同農務相は閣僚の一員として政策を非難する気は毛頭ないと前置きした上で、パロッシ財務相の苦労も判るが、農業界には支援や投資の資金が絶対的に不足しており、このために収穫が落ち込んでいる点を指摘した。さらに農家は低収入のうち三分の一は銀行に、三分の一は政府に巻き上げられ、それでも努力して国際競力に立ち向かっていると強調した。同農務相はルーラ大統領をして「クリクリ(いつも同じ不平不満を臆面もなく言い続けることの意)大臣」と言わしめているとエピソードを暴露しながらも、歯に衣を着せぬ発言で意気を上げた。
 ロドリゲス農務相はブラジル農業が直面している危機を語った。同相は第一に資金不足を挙げ、これにより作付面積が減少、技術開発の遅れで農産物の収穫減少は火の目を見るより明らかだと指摘した。現政府は社会福祉に注力するあまり他の分野への予算不足で苦しんでいる。これについてはパロッシ財務相も苦労しており、盟友として無理を言えず、また閣僚の一員として国策に沿わねばならぬとの立場を強調した。
 しかし、このために農家は苦労を強いられ、収入が減る中、三分の一は銀行、三分の一は税金などで政府に巻き上げられているのが現状であり、即刻改善の必要がある。二〇〇四年/〇五年収穫期に国内全体で一七〇億レアルの減収になったほど農家の状況は深刻になっている。
 このため今年の穀物収穫予想量は一億三二〇〇万トンにもかかわらず、現段階では必要降雨量があってもせいぜい一億一五〇〇万トンから一億二〇〇〇万トン、異常乾燥という不測の事態に陥ったら一億一〇〇〇万トンにまで落ちかねないとの見方を示した。
 また資金不足から関連商品の購入も減少しており、石灰は四〇%、肥料は一六%、種子は二五%、農薬は二〇%の販売減となっている。当然需給のバランスも崩れ、昨年来の農産品の在庫は需要の一一%だったが、今年は六%、来年はゼロとなり、複数の産品は今年のトウモロコシの如く輸入に転じるだろうとみている。
 外国為替相場については農家の首を締めている最大の原因だとし、いかなるざん新な農業政策を施してもドル安の壁は乗り越せないとして政府の対応を求めた。大豆生産者は見切りをつけて転作するしか道がないと極言した。
 いっぽうで高金利については、中銀のインフレ対策によるものだが、インフレは中銀の問題であり、そのために高金利で農家を締め付けるのは疑問だとの見方を示した。これにより農産物価格が高騰し、それがインフレ上昇につながるというイタチごっこを繰り返すことになると言明した。
 演説は参加者に好感をもって迎えられたが、記者団から辞任の意向は?との問いかけに「一時考えたことがある」とした上で、「一縷の希望は捨てていない」として留任するとの立場を示した。