2005年10月5日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】セーラサンパウロ市長(ブラジル社会民主党=PSDB)が先週末に市議会に提出した来年度の予算案の中で、交通違反取締りによる罰金が大きなウエイトを占め、市長が罰金を貴重な財源と見なし、その徴収に並み並みならぬ意気込みを見せていることが明らかになった。
予算案によると来年度の収入は一六七億三四〇〇万レアル、このうち罰金と金利の徴収予想額が七億七二〇〇万レアルと計上された中で、交通違反による罰金徴収が五億五〇〇〇万レアルと大きな割合を占めた。
マルタ前市長(労働者党=PT)時代に野党だったPSDBが前市政に対し、交通違反による罰金徴収を奨励しているとして「罰金産業」による収入だと、激しく非難してきた経緯があり、野党となったPTから反発が出ている。PTのドナット市議は「明日は我が身」となったセーラ市長の弁解を聞くのが楽しみと意気込んでいる。
交通違反による罰金額は二〇〇三年に三億五〇〇万レアル(予算計上は四億一〇〇〇万レアル)、二〇〇四年が三億二八〇〇万レアル(同三億五七〇〇万レアル)だったのに対し、今年九月までに二億四六〇〇万レアル(同三億五二〇〇万レアル)となっている。これに対し来年度予算では五億五〇〇〇万レアルと一挙にハネ上がった。
市当局では今年から州政府の協力のもとに他州や他市の交通違反車の罰金を徴収し始めたのが増収につながったと説明しているが、今年の実績では他州や他市の車は四〇〇万レアルのみで、残り二億四二〇〇万レアルはサンパウロ市内の車だった。来年の予算ではヨソの車はわずか五五〇〇万レアルで、市内の車は四億九六〇〇万レアルと大勢を占めている。
さらに市当局は九月三日に新設したレーダーで違反車のプレートナンバーの撮影が可能となり、これまで取締りがおざなりになってたロジージオ(都心乗り入れ規制)の違反車摘発が急増するのが罰金徴収予算増額の所似だと説明している。しかし野党側はこれら新設の機器類の導入にともない、交通技術公社(CET)の来年度予算は前市政が設定した今年の二億五〇〇〇万レアルに対し、四八%増の三億七〇〇〇万レアルに引き上げられたと反発している。
今年上半期の交通違反による罰金の順位は項目ごとに、スピード違反、不法駐車、交通信号無視、安全ベルトの未使用、走行中の携帯電話の使用となっている。