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伯中貿易協定、合意に達せず=「中国商法」の壁阻む=伯、セーフガード発動か=中国からの輸入、今年に急増

2005年10月4日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日、三日】先週北京で行われた伯中二カ国間貿易協定会議に臨んだフルラン産業開発相ら一行は、結局、何ら合意に達せぬまま帰国した。合意書に調印すべく乗り込んだ同開発相だが、中国側の「中国商法」の壁に阻まれ、交渉は白紙に戻った。同開発相は遺憾をあらわにし、中国製品の輸入規制などを盛り込んだセーフガードを発動すると、強硬な態度を表明している。アメリカやヨーロッパで中国との貿易摩擦が強まる中、ブラジルは話し合い路線を重んじてきたが、他国同様、セーフガード適用を余儀なくされた。中国側の頑強な主張に対し、ブラジルは長年国内産業保護の名目で輸入抑制に努めて、世界でも定評のある政策を取ってきた経緯もあり、両国の対立が注目されている。
 フルラン産業開発相は商談の具体的内容を明らかにしていないが、協定書は九九%まで合意に達していたにもかかわらず、最後のドタン場で中国側がある商品に執着し、主張を譲らず平行線をたどった。そうした中、中国側の代表である副首相が次の約束があるからと、結論を見ないままに席を立ってしまったという。怒り心頭に発したブラジル代表団も即刻会議を打ち切り帰国したとのこと。
 ブラジルが中国を世界貿易機関(WTO)の一員と認めた以上、アンチダンピングの提訴はできないが、WTOの規約のもと、セーフガードの適用は可能だ。これには各業界が中国製品の輸入によって受ける被害や影響についてのデータを提出し、政府に対してセーフガードの発動を申請することになっている。これに従い、同相は申請に取りかかるよう関係各筋に通達した。
 これにより、すでに実態が把握されている繊維、衣料、靴、玩具、精密機器などの関税引き上げが発表されるとみられている。これらの関税引き上げは四カ月前から用意され、実施準備にあったが、話し合い路線を強調してきた同相の反対で引き延ばされていた。
 中国からブラジルへの輸出は、中国側の輸出強化策にブラジルのドル安が追い風となり、今年に入り急増した。今年八月までの中国からの輸入額は三三億七〇〇万ドルと、昨年同期の二二億四四〇〇万ドルを大きく引き離した。中でも繊維は四九・一%増、靴は五九・二%増、玩具およびスポーツ用品は四七・三六%増と国内業界に深刻な影響を与えている。
 これまでの伯中貿易は二〇〇〇年に輸出が一〇億八五〇〇万ドル、輸入が一二億二二〇〇万ドルと、ブラジルが一億三七〇〇万ドルの入超となったのを除き、翌二〇〇一年は輸出一九億二〇〇万ドル、輸入一三億二八〇〇万ドルと出超に転じて以来、出超で推移している。
 しかし二〇〇三年に二三億八五〇〇万ドルだった貿易黒字が二〇〇四年には一七億二九〇〇万ドルに減少、今年八月までは八億ドルとなっている。中国製品の輸入増加率は今年六・九%で、昨年同期の五・七%を上回っている。さらに年末商戦に向けて輸入が増える傾向にあることから政府は年内に貿易黒字を維持できるか危惧している。
 いっぽうでWTOの中国代表大使は、ブラジルのセーフガード発動は二カ国間にとって百害あって一利なし、ブラジルの「裏切行為」だとして、外交問題に発展すると発言し、ブラジリア外交筋をけん制している。ブラジル外務省でも事態を重視、WTO会議で話し合いによる決着を模索したいとの考えを強調している。

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