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早くもつまずいた新議長=各党意見収拾できず=選挙法改正審議行き詰まる=大統領は初めて息を抜く

2005年10月1日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】レベロ新下院議長(ブラジル共産党=PCdoB)は二十九日、各党幹部を召集し、選挙法改正に関する表決方式で協力を求めたが、意見の収拾が出来ず出鼻をくじかれた。下院は議長選が引き起こした与野党攻防の後遺症を残したまま審議へ入ったので、索漠とした余韻に包まれていた。新議長は、三十日が二〇〇六年選挙の改正審議最終日であるにもかかわらず、議事進行の雰囲気にないことを認識した。ルーラ大統領は下院新議長の選出について、労働者党(PT)は不祥事について国民に納得する釈明をしていないので、PTから候補を出さなかったと述べた。
 レベロ新議長は、下院の審議初日で馬脚を現す失態を演じた。新議長は議会運営について各党の協力を求めたが、何ら合意を得るに至らなかった。九月三十日は〇六年選挙の規則を決める最終日である。これが決まらないと、十二月三十一日の表決に間に合わず、大統領選までに改正選挙法を施行できないことになる。
 与野党間の重苦しい雰囲気は、各党幹部会議の開催以前から感じられた。会議は開口一番、ゴウドマン下議(ブラジル社会民主党=PSDB)とシナグリア下議(PT)の論戦から火ぶたが切られた。十五票の僅差辛勝は、裏金作戦の勝利と野党が皮肉ったからだ。
 大統領を表敬訪問したレベロ新議長をルーラ大統領は、議会が必要とする数少ない清廉潔白の政治家で、熟慮と責任感に満ちた人物と評した。議長選は血みどろの白兵戦であった。地方自治体で長官が朝クビになり、夕には原職復帰になったり、忙しい日であった。
 下院議長選では一九九七年にテメル議長(ブラジル民主運動党=PMDB)が一票差で選出されたエピソードがあり、今回もそれに匹敵する激戦であった。ゴイアス州政府とサンパウロ市政では、ノノー下議(自由前線党=PFL)の投票結果に州や市高官らの去就が掛かっていた。
 さらに議長選の舞台裏では、恥も外聞もない奥の手が使われた。脅迫から泣き落とし、目標達成を条件に約束のバラマキ、役職の叩き売りなど何でもあり。連立与党には、順番制議長推薦のお鉢もあった。
 下院のミルクコーヒーことコラーレス下議(民主労働党=PDT)は、サルバドール市の地下鉄工事に一八〇〇万レアルの資金を得た。総工費三億ドルのうち、州政府負担が三億レアル。しかし、財源がなかった。
 大統領はグランジャ・トルトの別邸に党幹部を集め、政局混乱による緊張の連続から解放されて初めて息を抜いた。続く敗走のあと、ようやく陣の建て直しができそうだからだ。おまけにコリンチアンスが、リバープレートと引き分け幸先がよい。
 下院議長選に食指を動かしていたPT議員は、五人いた。今回は候補を見送り、レベロ一本化に協力したことに大統領は謝した。
議長選にPTが目立つのは適当でないと大統領は判断した。一連の疑惑についてPTは国民に釈明する義務がある。大統領は得意のピアーダ(小話)で説明した。五人は優秀な人材だが、不祥事の手前遠慮しろというのだ。