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レベロ下議、議長選制す=決選で僅差の辛勝=大きな借りを作った政府=PMDB分断作戦成功

2005年9月30日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】下院議長選に臨んだ政府は二十八日、一五億レアルの予算交付と役職提供により政府推薦のアウド・レベロ下議(ブラジル共産党=PCdoB)の議長選出に成功した。表決は決選投票にもつれ込み、レベロ下議は二百五十八票、ノノー下議(自由前線党=PFL)が二百四十三票と僅差で辛勝した。政界史上稀に見る、なりふりかまわぬ予算の大判振る舞いと役職の叩き売りが行われた。一旦は政府機関から追放されたブラジル労働党(PTB)関係者も、全員古巣へ復帰。裏金疑惑に関与した進歩党(PP)議員は放免とされた。
 政府の垂らし込みマシンは、性能を発揮した。第一次選のレベロ下議とノノー下議は同点で、それぞれ百八十二票を得票した。両下議の決選投票が決まった時点で、政府はエサのばらまきを始めた。自由党(PL)には、運輸省関係で六億八〇〇〇万レアルの予算交付。PTBは、次官と長官級の原職復帰と観光省へ三億三五〇〇万レアルの予算交付など。
 政府は大きな借りを作ったようだ。PTBは所属議員四十六人のうち八〇%が、一次はフレウリ下議に、決選はレベロ下議に投票した。ノノー下議を後押ししたテメル党首(ブラジル民主運動党=PMDB)は苦戦した。下院議長席まで棒に振り、裏金にトップリ浸かっていたPPの灰色議員を不問にすると、野党は政府を非難した。
 ルーラ大統領は久々の与党勝利をワグネル政調会長などと祝った。政調会長は、魂を売ったのでも政権を切り売りしたのでもないと、感激のあまり泣いた。マスコミが抗議するコンプレッサー方式を否認した。
 票獲得のための不正取引や恐喝、強制、影響力行使はなかったと同会長は強調する。連立与党も幼稚な勢力闘争に終止符を打ち、結束する時期が来たと認識したという。十五票の僅差勝利は、議会が偏った党派で占められず、議会政治の健全性を物語っていると政調会長は訴えた。
 最大議席を占めるPMDBのテメル党首は、作戦通りノノー候補推薦を表明し議長選から降りた。PMDBは最大党でありながら、カリェイロ上院議長の親政府派とテメル派で分裂。同党のまとめ役を党首が演じ、次期大統領選に備えることを示唆した。
 上院議長は次期大統領選でルーラ候補の副大統領コンビを目論んでおり、テメル党首など眼中にない。議長選の一次投票でテメル党首は引き分けにこぎつけたが、予算交付や大臣などの弾薬がないため決選で惜敗し、無念の涙を飲んだ。
 大統領府のPMDB分断作戦は、党運営の難しさを同党首に実感させた。政府はPMDBから大臣を起用し、党首の鼻をあかせる。上院議長はPMDB内に一派を構成し、屋上屋を建てている。上院議長の振る舞いは、PMDB分裂を既成事実にしている。
 テメル党首とカリェイロ上院議長の確執が表面化しつつある。党内にはチラデンテスを裏切ったジョアキン・シウベリオに上院議長をなぞらえる議員もいる。上院議長はレベロ下議支持を表明しただけでなく、サルネイ上議との共同戦線で一派の旗揚げパーティも開催した。