2005年9月29日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】国会議員食堂スキャンダルの責任を取って議員辞職したセヴェリーノ・カヴァルカンテ下院議長の後任を決める選挙を二十八日に控え、大統領府のあるプラナルト宮はその前日、あわただしい動きに包まれた。
是が非でも議長ポストを与党に奪回したい大統領府は連立与党推薦のアルド・レベロ候補(PCdoB)を肩入れすべく、大統領の至上命令のもとに五閣僚を国会に送り込んで議員をマンツーマンで説得工作させた。いっぽうでルーラ大統領は有力党幹部を個別にプラナルト宮に呼んで、金とポストを餌に談合政治とも思える一本釣り作戦を展開した。
運輸相が所属する自由党(PL)は、以前から国道整備の予算の支出認可を求めてきたが、ここにきて大統領はレベロ候補支持を条件に一〇億レアルの放出を約束した。加えて決選投票は避けられないとして、この際にブラジル労働党(PTB)を抱き込む工作を依頼した。
いっぽうで、そのPTBに対しては、出馬を表明したフレウリ・フィーリョ候補とも会談し、出馬を取り止めない様要請した。その上で、決選投票でレベロ候補を支持する見返りに同党が失った要職のポストへの返り咲きを約束した。このポストは議員権をはく奪された同党のジェフェルソン前党首が不正資金の告発をしてスキャンダルの口火を切ったことで空席となっている。
またフィーリョ候補の出馬を促したのは、ダークホース的な存在として急浮上してきた第四の男、シーロ・ノゲイラ候補(進歩党=PP)をけん制するのが狙いだ。
ノゲイラ候補は辞職したカヴァウカンチ議長の同胞を自負し、その路線の踏襲を公言していることから、前議長の支持者や少数政党の反政府議員の強い支持を得ている。大統領筋はノゲイラ候補が決選投票に進むと苦戦を強いられることから、フィーリョ候補をして票割れに持ち込む作戦を取った。
ルーラ大統領は同日、エジプトのカイロで行われた柔道世界選手権から帰国した代表団を迎え、贈られた柔道着に身を包み、「決戦に備えて金メダルとは縁起がいい」と相好を崩し、タタミ(畳)の発音を間違いながらも「明日はタプミ(タタミ)に上がって勝負をつける」とおどけて見せた。