【既報関連】ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事は10日、大統領府でジウマ大統領と面会し、サンパウロ州の水危機の対策として八つの工事を行なうために350億レアルの国からの援助を求めた。これに関して同大統領からの具体的な返答は得られていないが、連邦政府内からは批判の声もあがっている。11日付伯字紙が報じている。
アウキミン知事が水危機の対策として、下水処理施設(Epar)の建設による水の再利用などを考えていることは7日付本紙でも伝えたが、同知事が10日にジウマ大統領に行なった提案も、それを含んだ八つの対策のものだった。
その提案のうちで最も大きなものは、ミナス・ジェライス州とサンパウロ州、リオ州をまたいで流れる南パライバ川にあるジャグアリ貯水池とカンタレイラ水系のアイバイニャ貯水池をつなぐ施設の建設で、これに8億3千万レアルを見積もっている。
二つめはカンピーナス市とアンパロ市での貯水ダム建設で、この工事は7億6千万レアルの見通しだ。三つめはサンパウロ市の南方に位置するビリングス湖(貯水湖)内でグランデ川とペケーノ川をつなぐ工事で、これは5億レアルの見通しだ。
さらにカンピーナス地方に出来た貯水ダムの水をカンタレイラ水系内のピラシカーバ、カピヴァリ、ジュンジアイーの各川の流域(通称PCJ盆地)に流すための水路の建設(3億9700万レアル)や、PCJへ水を汲み出すための井戸を掘る(3億5千万レアル)ことも提案された。
また、バイショ・コチアへのEpar建設(2億7500万レアル)やグアラピランガ水系でのEpar建設(2億5千万レアル)でも、連邦政府の援助を求めている。さらにカンピーナスでの集水状況を改善するための工事(1億5千万レアル)も想定している。
約1時間にわたる会合後も、ジウマ大統領からはこの提案に対する具体的な協力の約束などは得られなかったが、アウキミン知事は「もう選挙は終わった」と語り、連邦政府に「できうる限り」の協力を求めた。給水制限の可能性については、「11月も12月も、1月も2月も上半期も下半期もない」と発言し、15年いっぱいは行なう予定はないとした。
だが、同席したミリアム・ベルキオール企画・予算管理相はアウキミン知事の提案に関し、ジウマ大統領は「親身になって聞いていた」が、「いずれも短期、もしくは中期の対策で、長期的視野に立ったものとは言えなかった」と批判した。また、イザベラ・テイシェイラ環境相も「サンパウロ州の状況は非常に厳しく、懸念が残る」としている。
アウキミン知事は6日に、今回行なった提案のほかに「海水の淡水化も頭の中に入れている」と語っている。淡水化はブラジルでも既にセアラー州など9州で実施されているが、その実行には莫大な費用がかかるとも言われている。サンパウロ州が計画している下水を処理して再利用する案は、普通の水の取水と浄化の2倍の経費で済むという。