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フェリペ・ナスル(ウィキペディアより)
フェリペ・ナスル(ウィキペディアより)

「F1界のネイマール」ナスル=王国ブラジルの再建に期待

 9日に開催されたF1のブラジルGPで、フェリペ・マッサが3位に入賞。2008年のマッサ自身の優勝以来、ブラジル勢5年ぶりの表彰となり地元は久しぶりに沸いた。だが、「F1王国ブラジル復活」は、むしろ来年以降かもしれない。
 その「王国復活」の期待を背負っているのが、現在22歳の新進ドライバー、フェリペ・ナスルだ。ナスルは今回、マッサが所属するレーシング・チーム、ウィリアムスの控え、および練習用のドライバーとして参加。本番はマッサの活躍を見守るだけだった。
 だが、ナスルは今年既に、F1でいうところの2部にあたるGP2で4勝をあげ、年間ランキング2位につける活躍を見せて、来期のF1昇格を決定的なものとした。今月3日には、スイスの名門ドライビング・チーム、ザウバーと来期のF1レギュラー・ドライバーの契約も交わした。ザウバーは駆け出しの頃のマッサが所属したチーム(2002~5年)で、日本でも小林可夢偉が2010~12年に在籍したことで知られている。
 ブラジルでF1と言えば、70年代のエメルソン・フィッチパルディにはじまり、80~90年代にはネルソン・ピケ、そして「音速の貴公子」ことアイルトン・セナが年間世界チャンピオンに輝いていたもの。F1での成績は世界3位だが、セナ以来、ブラジル人世界王者はもう24年間、生まれていない。さらに言えば、グランプリそのものでも、09年にルーベンス・バリチェロがイタリアGPを制して以来、ブラジル勢の優勝はない。
 ナスルは今回のブラジルGPの前に「このグランプリに、ブラジル人以外のレーサーが1位で入ってくるのを見続けるのはつらい」とも語っている。
 「ブラジルにはF1の輝かしい歴史がある。だから国民は王国が続くことを望んでいる。僕にとっては来年からF1の夢が叶うわけど、浮き上がってはいられない。学ぶことはたくさんある。でも、僕がベストを尽くしてチャンピオンになる夢を止めるものなんてないんだよ」と語る。
 1992年生まれのナスルはサッカー界の若きエース、ネイマールと同い年だ。ナスルはよく、美男子を意味する「ガット(Gato)」とも称されており、活躍すればネイマール同様、アイドル的な人気を得ることも決して不可能ではない。
 今回のブラジルGPで表彰台に立ったものの、マッサも既に33歳で、現役生活ももうそれほど長くないとも見られている。それだけにナスルにかかる期待はより大きくなる。(7日付フォーリャ紙より)