2005年9月27日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】下院議長選出を巡ってノノー副議長(自由前線党=PFL)とテメル・ブラジル民主運動党(PMDB)党首は二十五日、大統領府推薦のレベロ(ブラジル共産党=PCdoB)下議に対抗するため同盟を結んだ。テメル党首は、PMDBの票割れを防ぐための議長候補を演出するらしい。PMDB執行部はPFLとブラジル社会民主党(PSDB)の支持を折り込み、同党が副議長席を確保する考えで、テメル下議に対する党の対処は未定という。下院法制委員会は二十六日、ノノー臨時議長の議長候補について合法性を審議する。
次期下院議長を巡り水面下の駆け引きが活発化している。PMDB党首宅で行われた会談では、テメル下議は法制委員会のノノー候補の合憲性裁決が下るまで同盟関係を維持し、同党首が議長候補から降りる可能性も確認された。テメル党首の候補は、PMDB票離散防止のためのジェスチャ―と言えそうだ。
PMDB政府派の抱き込みと票割れ防止のため、同党執行部はPMDBへ第一副議長供与でPFLとPSDBと合意している。現時点でPMDBは浮遊票が多く、まとまりがない。カリェイロ上院議長(PMDB)が二十二日に大統領府推薦のレベロ下議候補支持を表明したことで、PMDBを解体したからだ。
先の内閣改造でルーラ大統領は、テメル党首との間に行き違いが生じた。それをレベロ下議が収拾し、PMDB反主流派五十人を抱きこんだ。しかし、テメル党首はPMDBの造反票は一二%以下で、五十人はほらだとみている。
一方、与党労働者党(PT)はシナグリア下議の候補降板でPT票を結束させ、レベロ下議の指名でブラジル社会党(PSB)票の抱き込みを狙っている。大統領自身がPMDB下院議長を信用しないという。
テメル・ノノー同盟は、定番のPT造反票を期待している。また連立与党の中にも、ブラジル労働党(PTB)や自由党(PL)、進歩党(PP)のように与党とも野党ともつかない党があり、ここだけで二百三十の浮遊票が狙える。
最高裁の判断を仰ぐことになりそうな問題がある。クーニャ下議(PMDB)が、ノノー下議の再候補は違憲ではないかという上申書を下院執行部に提出した。これはノノー臨時議長によって取り下げられ、クーニャ下議がさらに法制委員会へ上伸し、二十六日に裁決される。ここでも却下されるなら、最高裁へ上訴するらしい。
ノノー下議候補の後押しでアウキミンサンパウロ州知事も動き出し、元サンパウロ州知事で議長候補のフレウリ下議(PTB)に降板するよう折衝を始めた。フレウリ下議は、PTBは名前だけの連立与党で政治参加は全くないし、野党でもないので決選での取引に応じるとした。また二〇〇六年の大統領選を視野に入れた取引もあると同下議はいう。
下院議長選でノノー下議とノゲイラ(PP)下院第二副議長、カウダス(PL)第四書記の三人が、意欲を燃やしている。三人ともカヴァウカンチ前議長の後釜に、いつも食指を動かしていた。最も積極的なのはカウダス下議だ。決選に生き残れる可能性が低いからだ。一次でレベロとノノー、テメルが残るという予測が大勢だ。