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下議5人は議員権はく奪対象外=下院倫理審=証拠不十分理由に=裏金授受に直接関与せず=「無責任な告発に振り回された」

2005年9月24日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】下院倫理審議会のイザル会長(ブラジル労働党=PTB)は二十二日、議員権はく奪リストの下議十六人のうち五人を証拠不十分でリストから外す意向を下院執行部に通知した。ルイジーニョ下議(労働者党=PT)とヘンリー下議(進歩党=PP)、サントス下議(自由党=PL)、ブラント下議(自由前線党=PFL)、マベル下議(PL)の五人は、政府案支持で買収した裏金に関与した形跡がないと判断された。報告書は類別整理をすれば、さらに提訴棄却が可能になると同会長は述べた。
 下院執行部が議員権はく奪審理書類を郵便局と裏金CPI(議会調査委員会)とで類別整理すれば、倫理審議会への提訴は不要であることが判明するとし、イザル会長は五人の調書を執行部へ返却した。同会長は五人が裏金に直接関与した形跡はないとみた。
 下院監察委員会の中に設置された汚職調査委員会は、十把一絡げで整理せずに違反行為の内容に応じて類別すべきだとイザル会長は注意した。そうすれば処罰の形式を決めるのに作業が容易になり、議員権はく奪の対象にならないケースも明白になるという。
 CPI結論の報告書が監察委員会に回されると、俎上の下議らは下院執行部への報告に先立ち、各自抗弁を行う。手続きの手順から行くと、下院執行部は倫理審議会へ提訴書類を回すかを決める関所である。
 監察委員会は下議五人の提訴書類を返却され、その対処でバタバタした。各委員会の見解が異なり、監察委のズサンな審理が批判されているからだ。同委員会は結論を一括して執行部へ提出すべきか結論の一部に止めるべきか迷っている。
 俎上にある下議らも、告発内容を類別すべきだと抗議した。現状は主犯も共犯も同じ檻に放り込まれ、全員同犯扱いをされる。監察委員会での抗弁がそのまま倫理審で受理される。抗弁の取り口は、灰色下議らにとって政治生命にかかわる重要な一幕だ。
 監察委の十把一絡げの審理は、政治生命がかかる下議らにとってたまったものではない。倫理審は最終判断を下す責任の重い部署である。だからクソとミソを類別しろというのだ。下議の生命も木の葉が落ちるのも同じとはいかない。審理結果にはマスコミの目が光っている。ズサンな処置に対しては批判の集中攻撃がある。
 マスコミの審判も重要である。各審理結果をマスコミが適正か否か判断する。PLが提訴したPTBの下議四人の議員権はく奪審議では、まだ批判の狼煙は上がっていない。CPIから回された報告書が、監察委と執行部、そして倫理審に回される段階で、誰かが適正な判断を下すとタカをくくっているようだ。
 イザル会長の見解では、スイカ畑で靴ひもを締めていたからスイカ泥棒だという告発が多いという。桃の木の下で帽子をかぶり直したから桃泥棒という、無責任な告発に振り回されたことを反省している。
 ルイジーニョ、ブラント、ヘンリー下議らは、裏金享受の事実を全く知らないという。議員補佐の誰かが出所不明の資金を受け取り、会計が入金処理をしたらしい。こうなるとライバル議員を陥れる罠は,首都では枚挙にいとまがないと同会長はいう。
 議員事務所で政治献金の話は日常茶飯事である。運転手や下級職員が提供されるままに、何も知らず受取りに行く。現金を受け取った現場を何者かに撮影されて、証拠物件に使われる。何故何のための現金なのか、運転手や下級職員は分かるはずがない。それでも犯罪の一端を担がされ、CPIへ召喚される。