2005年9月23日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】二十五日にサンパウロ市ジョゼー・カルロス・パセ・サーキット通称インテル・ラーゴ・サーキットで開かれるF1ブラジルグランプリに国内外から四万人の観戦客が来聖することで、市当局をはじめ関係者はそれによって落とされる「観光マネー」の経済効果に絶大な期待を寄せている。
とくに今年は今回のレースで本年度のチャンピオンが決定する可能性がある展開となっており、F1ファンの注目となっていることから、例年より観戦客が多く、動員数は昨年比二〇%増の盛況を見せている。市当局の試算によると、ホテル代や食事、観戦経費など直接経費のみで八〇〇〇万レアルの金が落とされ、このほか各種イベントやツアー、ショッピングなどを含むと総額一億五〇〇〇万レアルの経済効果が表れると予測している。
F1開催に当たり、市当局ではこれまで二六〇〇万レアルを費やしていることから、経済調査院(FIPE)の計算ではこの投資一レアルに対し、三・二二レアルの見返り収入になるという。さらに各業種で一万八千人の臨時雇用が誕生している。
F1観戦客は世界的に通常のツアー客と異なり「金離れの良い客」との定評がある。例えば市内の渋滞を避けるためにコンゴニャス空港からサーキットまでヘリコプターがチャーターされるが、昨年は一機二五〇〇ドルだったのが今年は四〇〇〇ドルに値上げされたにもかかわらず、四百機がすでに予約されている。こうした中で関係者は一足早い「クリスマス景気」を迎えたと意気込んでいる。
とくにホテルでは市内五万客室の九〇%に相当する四万五千客室がすでに到着した客や予約で埋まっている。これは通常の週末の三〇%で、ホテルにとってはかき入れ時の一つだ。
グルメ業界も客引きに大童だ。市内五万五千店のレストランの内、五千店が国やパイロットの名にちなんだメニューを発表してPRしている。中央市場のレストラン八店のうち六店はスペインのアロンソ選手と日本の佐藤琢磨選手に歓迎と敬意を表して、両国の代表的料理をプロモーションとしてサービスしている。歴代チャンピオンのシュマーハー選手には好物の赤いフェジョンを主体とした献立が用意されている。毎年訪れるカナダ人のスタッフらはシュラスコとパウリスタ大通りのショッピングが最高だと話している。
F1観戦客が一人当たり「落とす金」はサンパウロ市内で行われるイベントの中でもトップを占めている。F1動員数は十二万人(観光客四万人)に対し観光収入は一億五〇〇〇万レアル。ゲイ・パレードは百五十万人(同四十万人)の参加で、収入は二億レアル。モーターショー(自動車展示)は五十八万六千人(同二十三万五千人)の入場者で、収入は一億レアル。カーニバルは十二万人(同二万四千人)で、一五〇〇万レアルとなっている。
このほか、これらに含まれていないのが夜の観光収入だ。セーラ市長がナイトクラブのセクシーなポスターの取り外しを命じて物議をかもしたが、世の男性の常で、ナイト・ツアーは阻止できない。店にとって金持ち客はカモで、この期間は料金も三倍から五倍にはね上がる。市内在住の常連客は出入りを避けたほうが無難かも。