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人手が全然足りない靴の町=確かな商品でドル安どこ吹く風=Sカタリーナ州

2005年9月23日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】失業者ゼロ。市民全員が雇われてもまだ人手が足りない町がある。全国で失業にあえぎ毎日職を求めている向きには垂涎の的だろう。
 そこはサンタ・カタリーナ州サンジョン・バチスタ市(サンタ・パウリスタ地区ノーバ・トレントの近く)は人口一万八千人のちっぽけな町だが、靴の生産ではリオ・グランデ・ド・スル州バーレ・ド・シノ市やサンパウロ州郊外都市と並ぶ知名度を誘っている。
 町全体の生産量は一日六万足に達し、デザインや技術の高さから八五%が国内で販売されている。このため他の地区がドル安で苦悩する中、同市では影響が見られない。逆に最大顧客のアラブ諸国はドル安を理由に値上げしても意に介せず、注文量が増えたという「活況の町」だ。
 同市は五年前までは唯一の産業だった砂糖工場に経済を頼る町だったが、閉鎖されたことを受けて市当局は皮革産業が比較的多かったことを踏まえ、家内工業として細々と製造されていた靴に目をつけた。市の援助もあって技術が向上したことで、市当局は国内の見本市やフェアーに出品、地位を高めて企業の誘致にも成功し、一大発展を遂げた。
 町の活性化により移住者も急増した。隣のリオ・グランデ・ド・スル州の職工らは待遇が良いことから続々と転職してきた。中には妻同伴の五人兄弟が全員工場に働きに出ている家族もある。最低給与ベースが四〇〇レアル、熟練工になると一〇〇〇レアル以上で、この町の生活水準では充分と言える。
 町の一日は朝のラジオでの求人、しかも急募が延々と続く。求人不足分は隣接の町から集めてくる。市内には市営バスがなく、工場の送迎バスが走り回っている。これで充分用が足せる。工場側は人手不足で工場生産を停めるより、バスを購入して工員を集めた方が割安になると割り切っている。
 ただ市当局にとっては問題が表面化している。急激に増加した人口に対する住宅問題と市内整備だ。住宅は極端に不足しており、個人の土地に無断でバラックを建てて住みつく市民が急増している。すべてのバラックにはピカピカの新車、格調高い新品の家具が取り揃えられるというコントラストとなっている。