2005年9月22日(木)
「ハルとナツの試写会で森光子が出ているのを見て思い出しました」。
持ってきた風呂敷包みを解いた原沢和夫さん。そこからは出てきたのは――森光子、賠償千恵子、石原裕次郎、仲代達也、美空ひばりなど豪華俳優・歌手のサイン色紙。その数四十四枚。
これらの色紙は一九六二年に、当時のサンパウロ文協で行われた展示即売会で購入したものだという。
三菱財閥の岩崎久弥の長女で、混血遺児の養育施設エリザベス・サンダース・ホームを設立した沢田美喜さん(一九〇二―一九八〇)がブラジルにも孤児が生活できる農園を作ろうと、建設費用を得るために有名人から集めた色紙だ。サンパウロ救済会の渡辺トミ・マルガリータさん(〇〇―九六)に依頼し、ブラジルでチャリティー即売会が行われた。
過去に援協会長を務めてもいるだけに、少しでも力になりたいと考えたのか「安いものではなかったがこの機会にと、どんどん選んで買った」と思い出す。
「森光子さんはあのころからブラジルに関係していたんですね」と感慨深そうに見詰める。現在はほとんどが手に入れることのできない貴重なものだ。
八月の老ク連三十周年の式典で文協サロンに展示したところ、大変喜ばれたという。「貸してほしいという声があればお貸しします」と話している。