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コラム 樹海

 「外国人児童生徒の不就学ゼロ」宣言をした岐阜県可児市は、多文化共生都市にむけ大きな一歩を踏みだした。さらに同市の国際交流協会は基金を作り、外国人生徒向けの高校進学奨学金制度まで昨年創立した。全国的に見てもまだ相当珍しいのではないか▼申請条件の最初には「日本国籍を有していない人」と書かれている。奨学生は毎年二人で、入学時に十五万円、四月に十万円、十月に五万円が付与される。金額は大きくはないが、無事卒業すれば返金したくてもいいという太っ腹な制度だ▼東京都の公立中学校における外国籍生徒の割合は一・二七%(〇四年)だが、高校における割合は〇・六六%(同年)と半分以下で、ぐっと少なくなる。高校に通ってはいても定時制(夜間)の生徒の割合が高い。まして行っていない外国人子弟の多くは、進学をあきらめ、親などとともに工場労働に従事していることが多いという▼二十、三十年先を考えたとき、大学どころか高校すら行かないデカセギ子弟が、学歴社会の日本でどのような人生をおくるのかと考えたとき、少々胸が痛む▼日本移民は子弟教育に最大の投資をして大学へ進学させ、財産の代わりに学歴を与えた。その成果が現在のエリート二世を生んだ。日本で同様に、日系ブラジル人の弁護士や医師、大学教授、企業家がたくさん生まれる時代はくるだろうか▼可児市のような奨学金制度が日本全国に広がり、外国人子弟の社会上昇の一助になることを切に願う。 (深)

05/09/22