2005年9月21日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】ブラジル石油業界の異変について、続編がある。原油が高騰するほど、ブラジルは笑いが止まらない。ブラジルは国内消費の一八〇万バレルを十分自給し、毎日一〇万バレルが余り始めたからだ。原油生産は、ブラジルの有力な収入源となりつつある。
七九年に石油ショックが起きて以来、原油の自給は遥か未来の夢と思われていた。国産原油は全消費の二五%が精一杯で不足分を輸入したため、累積債務の増大は目を被うばかりだった。ついには八三年、身も縮む恥すべき第一回モラトリアム宣言を行った。そして八七年に第二回だ。
しかし、原油高騰が何時まで続くのか。世界は火力発電に変わる新しいエネルギー源を発見するに違いない。国際研究機関の報告によれば、産業が耐えられる原油価格はバレル当たり六〇ドルという。
六〇ドルを超過したら、欧米始め日本、中国などの工業生産は減産し、石油消費も減るとしている。世界各国の国内総生産(GDP)が減少するなら、食糧消費や原料需要、ブラジル特産の中間財も需要が減少する。
そうなると、産業への打撃は免れない。ガソリンの高騰で消費が減少すれば、アルコールの消費も減少する。アルコール生産者はガソリンへの混入率を引き上げる政治運動をしていたが、世界経済の陰りも考慮する必要がある。
フレックス燃料車は国産車の二〇%を占め、わが世の春を謳歌している。アルコール燃料が経済的であることと、消費が二年間で一〇〇億リットルから一七〇億リットルへ増えた。七〇%も消費が拡大した産業分野は他にない。
過熱気味のアルコール消費は、設備投資を促進し、国内消費を賄いながらエタノール輸出にもつながった。ペトロブラスは外貨獲得を目的に原油輸出を促進するため、さらにガソリン価格を引き上げ、アルコール消費に力を入れる方針のようだ。
ブラジルがアルコールを代替燃料と決めた当初、世界は植物油エンジンに疑問を抱き、投資にも消極的だった。現在は世界の自動車メーカーが、真剣にフレックス燃料車の開発に取り組み始めた。十年前はアルコール生産者さえも、今日の有様を想像しなかった。