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下院議長、議員辞職へ=21日にも発表か=野党議長阻止で大統領と合意=後任に15人が食指動かす

2005年9月20日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】カヴァウカンチ下院議長は十八日、議員辞職の意向を表明し、二十一日の下院本会議で公式に議長職の辞任を発表する予定だ。下院議長が最も懸念するのは、最高裁による同議長の議員権に対する扱いだ。そのため議長は、議員辞職をためらっていたようだ。同議長は政治的圧力により議会を追われるが、二〇〇六年の選挙で返り咲き、〇七年は下院に再登院すると党員らに宣言した。下院議長は一時休職を断念。十九日にはルーラ大統領に、子息マウリシオ氏のペルナンブコ州農務部長とフォルテ都市開発相二人の留任を要請した。
 下院議長の地位は、蜘蛛の糸に支えられることになった。同議長の子息ジュニオールがTAM航空で首都へ向かった日時と、議員食堂経営者が支払ったリベートとみられる七五〇〇レアルの小切手を引き出した日時が合致したことで、下院議長の収賄は立件可能と連邦警察に判断された。
 下院議長はペルナンブッコ州議選に立候補した同子息のための融資金だと弁解した。同子息は選挙での借金決済のため、同議長に無断で融資取り付けに首都へ向かった。しかし、同子息は死亡したため、食堂経営者の小切手はリベートでなく、融資金であることを証明できなくなった。連警は最高裁へ書類を送付した。
 下院議長は大統領と会談、議長席は時間を稼ぎながら情勢を判断するとした。大統領は、野党が後任に入ることへ不満の意を表した。与党の議長席への固執を見返りに、都市開発相と子息の地位を保証することを約した。
 議長公邸に進歩党(PP)党員らが集まり、下院議長の進退について話し合った。党の意向としては休職が多数意見を占めた。その場合、議長席は第一副議長で野党のノノー下議(PFL=自由前線党)へ譲ることになる。
 大統領が同議長のノノー下議推薦を拒んだことで、同議長は下議辞職を決意したようだ。もはや辞任か提訴対決か、二者択一の道しかないと同議長は判断した。下議を辞職するとどうなるのか。まず議長特権は失う。リベート疑惑では一被疑者となる。議長特権を失い、一介の被告人となって、法廷に立つことへ抵抗があるらしい。
 所属党PPの休職案では、同議長が人一倍健康に自身があり、仮病はプライドが許さないという。PPは同議長の辞任に反対だ。同党リーダーのジャネーネ下議は、下院の誇りに賭けて対決を勧めた。
 大統領は十九日、下院議長と最終会談を行い、連立与党PPの取り扱いを決めた。下院議長も連立政府内でのPPの地位を党に説明した。大統領府は次期下院議長の選出にノノー下議と親しい下院議長の推薦や影響行使を敬遠している。下院議長の去就で、政界地図や政治団体、支援機関の運命が変わる。
 下院議長辞任に伴い、後任議長に食指を動かす下議は約十五人いる。議長への推薦は、下議二百人以上の支持が必要である。有力視されているのは議長経験者のテメル下議(ブラジル民主運動党=PMDB)だが、同党内は親政府派と反政府派で反目している。