2005年9月20日(火)
「第十六回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」―ブラジル日本文化協会扱い分の入賞・入選が、このほど知らされてきた。今回応募は過去最多の百五十二万三千八百七十六句。文協扱い分は、二十三人が入賞・入選、百三十人が選出されなかった。佳作と佳作特別賞はつぎのとおり。
◇佳作
ユーカリ林潮騒のごと青嵐
身吉 尚子
樗咲く筋金入りの移民妻
佐藤 孝子
擦れ違う葬列に脱ぐ夏帽子
名越つぎ代
行き先が祖国となりし春の旅 三浦 観次
拓魂の訓え尊とし移民の日
長田 如恵
陽炎て働きし父母目に浮かぶ 渋江 安子
竹の秋移民は風の如く消え
浜田 一穴
一杖に委ねゆらゆら春の風
神山 きよ
飛び下りし気分で買った数の子よ 山本かおり
鉄棒の日本が見へる逆上り
牛尼 楊子
日盛りや帽子はみだす驢馬の耳 藤本 千秋
鯉の口争ひなしに並びけり
立川 ゆう
一族が集れば百人鮪鮓
栢野 桂山
あめんぼの渦の中程父母がいて 青木茂兵衛
法名を書く羽目となり筆初め 吉田志乃婦
犀の眼は根性よしの眼春の風 佐藤 秀逸
羽衣の如き羅夜会服
木村都由子
座り込みおみこし上げぬ風邪の神 守長まもる
めしいして今なほ故郷の雛祭 柵 良子
流灯の闇の向かうも異郷なり 西 朋子
◇佳作特別賞
星流れ神話に遠きバター塗る 浦旗都家子
起伏なきわが晩年の日記果つ 高橋幸太郎
地の奥の鼓動に目覚めし芽吹かな 清水 照子