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「捕えてみれば我が子」=連警、税関職員ら44人検挙=クンビッカ空港で密輸に便宜=サンパウロ州

2005年9月16日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】「捕らえてみれば我が子だった」を地で行くような大量逮捕劇が連邦警察内で繰り広げられた。クンビッカ(サンパウロ国際)空港を舞台に暗躍していた密輸、人身売買および不法渡航あっ旋などの犯罪組織を捜査していた連警は十四日、各地で一斉手入れを挙行し、四十四人を検挙した。うち八人は首領格と目され、同空港に勤務する連邦警察官と税関貨物調査官だった。
 一昔前は税関吏や監督官にはいわゆる〃袖の下〃でブラジル方式の目こぼれが常識になるほど連警は地に墜ちていたが、粛清改革されて〃クリーン連警〃が前面に押し出されてきた。にもかかわらず治安当局の最高部隊に位置するエリート連警で近年まれに見る不祥事が明るみになったことで、司法当局をはじめ関係者らはショックを隠せないでいる。
 そもそも捜査の発端となったのはアメリカとスペインの駐伯大使館からの非公式な告発で、両国の移民管理局が不法入国者や滞在者、ブラジル人売春婦を取調べた結果、背後に犯罪組織が介在しているというもの。これをもとに連警では二〇〇三年以降内偵を進めた結果、連邦警察官を首領とするグループを突き止めた。
 当初〃オーバーボックス(密輸)作戦〃と〃カナ―ン(不法入国あっ旋)作戦〃の両仕掛けにしていたが、グループが同一犯だったことから合同作戦に切り換えた。立件を固めた連警は十四日、六十八人の逮捕状と百二十八カ所の家宅捜査令状を取付けて、六百人の捜査員を動員、サンパウロ、ミナス・ジェライス、エスピリト・サント、パラナ各州のアジトを急襲し、四十四人を一斉検挙した。うち本拠地のサンパウロでは三十六人が逮捕された。一味は人身売買、売春あっ旋、不法渡航あっ旋、密輸、公文書偽造、贈収賄の罪で起訴される。
 スペインおよびアメリカの大使館は武官も検挙に立ち会ったが、スペイン大使館によると、昨年サンパウロ市のスペイン領事館から一千通以上の未使用旅券が盗難にあったが、それも一味の仕業だという。いっぽうでアメリカ大使館ではコヨーテ作戦と呼ばれるアメリカへの不法入国パック旅行(メキシコ経由)を一人当たり一万ドルであっ旋しているグループの元締めだと指摘している。
 連警の調べではクンビッカ空港に到着する密輸品は首領格の一人の連警税関吏によって通関し、貨物一個につき八〇〇レアルを受け取っていた。
 ラップトップなど高価な品物は貨物一個当たり五〇〇ドルが相場だった。また出国や密輸商人の入国は一味の連警が便宜を図っていた。外国への入国査証やスタンプも巧妙に偽造しており、これらは全て証拠物件として押収された。