2005年9月15日(木)
第五十二回全伯川柳大会(ブラジル川柳社主催、柿嶋さだ子代表)が十日、ロンドリーナ市の西本願寺会館で開催され、サンパウロ、パラナ両州から七団体約五十人が参加した。
前もって募集していた自由句には百二人から三百六句が投句され、一般選、特定選各十位までを会場に掲示された。当日は、「備」を席題にそれぞれが制限時間三十分で作句した。
天災や老後の備えについて詠む句が目立ったほか、移民百年祭やローマ法王、アメリカの軍備について取り上げた人もいた中で、仁田原てい子さん(ロンドリーナ女流句会)の〈子たくさん備えなけれど子はそだち〉が一位に輝いた。
席代二位にも自作が入った仁田原さんは「子供たちに頭使わなくちゃだめ、と言われてボケ防止にやっています」と川柳を続ける理由を話した。
一位に選ばれた作品については、「自分の人生をそのままを詠んだ」と、七人の子供を育て上げた経験を反映させたと説明した。
大会は例年と同じく先没柳人への追悼法要に始まり、実行委員長の猿橋輝人さんが「毎年人口の減っていくコロニア川柳会の行末が心配だが先人に感謝しつつ保っていきたい」とあいさつ。
続いて各吟社代表者がそれぞれの活動状況や意気込みを話した後、出席者全員が自己紹介。年々縮小しているコロニア川柳界だが今年初めての参加者も数人おり、拍手で迎えられた。
アプカラーナ二葉川柳会の蒔田浜っ子代表は「一人になっても続けます」と固い決意を表明。
同会の上口一歩さんは「川柳と俳句は兄弟のようなもの。互いに参加して両方を盛り上げていければ」と意気込みを語った。
選や集計の合間には手作りの料理が振舞われ、記念ボーロの入刀も。ひねりの効いた冗談を言い合うなど始終和気あいあいとしたムードが会場を包んだ。
また、パラナ州内で川柳を普及させた瀬古義信さん(92)が参加できるようにとの配慮から、来年大会も瀬古さんの地元の同地で開かれることが決まった。
大会の結果は次の通り。
◎自由吟【一般選】一位=逆境に耐えた土台の石光る(土井静枝)、二位=欲と見得捨てて気楽な趣味に生き(五十嵐徳三)、三位=移り来て哭いた異国が今楽土(加藤喜代子)【特定選】一位=百年の台木にでかい夢を継ぐ(大友柳香)、二位=限られた余生へ心の薄化粧(高田早波)、三位=踏台となって育てた芽は繁り(谷沢和夫)。
◎席代 一位=子たくさん備えなけど子はそだち(仁田原てい子)、二位=人生は備えあれどもくるうもの(同)、三位=備えても自然の力打つ手なし(河野なみ子)。