2005年9月14日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】野党は十二日、十四日に予定のジェフェルソン下議(ブラジル労働党=PTB)に対する議員権はく奪審議の議事撹乱はやぶへびになる公算があるので放念し、カヴァウカンチ下院議長の追放に集中する意向を明らかにした。議員食堂経営者のブアニ氏からリベートをゆすり取ったことを理由とする同議長の議員権はく奪告訴は継続する考えだ。ブアニ氏は十二日、四万レアルのリベートに関する銀行口座明細書を提出した。下院倫理審議会は、同議長の議員権はく奪申請は証拠不十分として却下する考えを議長に提案したらしい。
アレルイア下議(自由前線党=PFL)の音頭で野党は当初、カヴァウカンチ下院議長が議事進行を行うジェフェルソン下議の議員権はく奪表決に応じない意向であった。議員権はく奪には二百五十七票以上が必要である。それには野党票も加えねばならない。はく奪の必要票に満たない場合、野党が同下議の放免に加担した責任を転嫁する考えだと与党は見る。
同下議の追放劇で野党は後退したが、下院議長への追撃では手を緩めない方針のようだ。下院議長に対する不信任案は十三日に提出される予定。同案は野党ブラジル社会民主党(PSDB)とPFL、(社会大衆党(PPS)、緑の党(PV)、民主労働党(PDT)、ブラジル共産党(PCdoB)、労働者党(PT)左派の連名で作成された。
同案の内容は議員倫理法四条に抵触し、特権乱用と裏金への関与で告訴するというもの。その他、広告業者ヴァレーリオ氏からの七〇万レアルの裏金享受や、ジルセウ前官房長官の提訴棄却未遂なども記載される。
一方、下院議長が下院第一書記だった当時にゆすられたとするブアニ氏は十二日、四万レアルのリベートを小切手で払った、〇二年四月四日付けの銀行口座明細を連邦警察へ提出した。日付は、議員食堂の契約更新で下院議長が署名した日付と一致する。下院議長が署名をねつ造だとする声明を発表した翌日だった。
小切手は、銀行の窓口で現金を直接引き出している。立件に向けた証拠物件にはならないが、犯罪の形跡は明白である。さらに同氏が発行し、下院議長に渡したという分割払いリベート小切手の換金明細も十三日、ブラデスコ銀行から同氏に渡された。
カヴァウカンチ下院議長はこれらの告発にどう対処するのか。聖職者崩れの異名を持つ硬骨漢の同下議の立場はどうなっているのか。崩れかかる王宮を支えたというサムソン・シンドロームと議会では呼ばれる。崩れかかる下院議長席はともかく、自分の上に降り掛かろうとする火の粉も振り払わねばならない。
下院議長が握る切り札は、更新した契約書のオリジナルといえそうだ。週刊誌ヴェージャに掲載されたのも、連警へ提出したのも、署名を鑑定した鑑定人が調べたのも契約書の複写である。もしもオリジナルに細工を施すなら、これまで下院議長が行った強気発言や記者団への声明発表はうなずける。