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旧態依然の労働法改正を=労組の奢りで産業空洞化

2005年9月14日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八月二十三日】EUで労働法改正の嵐が渦巻いているが、ブラジルにとっても対岸の火事ではなくなる。ブラジルの労働法も旧態依然の現状維持をかこつなら、やがて労組と失業者を野ざらしにして企業群は、ブラジルを去る。
 中国を始め東南アジアの輸出攻勢に対抗するためEU諸国は九〇年代、労働法の改正に迫られた。それは、ブラジルとて同じだ。東欧の賃金は、一時間当たり三から六ドルである。労働条件は劣悪だから労使交渉は容易にまとまる。西欧は一時間当たり三五ドル、労使交渉は困難だ。
 西ドイツの自動車メーカー・アウディーは、スロヴァキアに新工場を設立した。官民が新工場の発展で協力を願い出た。週当たり勤務時間は西ドイツが二十八時間、時給五十ドル。スロヴァキアは四十時間、時給六ドル。労使交渉は即時決着。西ドイツは数カ月。
 ハンガリーやポーランド、チェコなど東欧の労働力は、伝統的に高度の質を誇る。自動車メーカーは次々、生産拠点を東欧に移している。国際競争力では、中国に次ぐものとなった。いつブラジルの自動車メーカーも、東欧へ移転するか分からない。
 いまや東欧に響きわたる槌の音は、インフラ整備に始まり町並みが一新している。変化は市民の生活だけではない。労働システムでも官民合同の努力が見える。労組は雇用創出と労働者の社会福祉に精を出し、生活協同組合が多数誕生。
 労働者のベアを抑えて、労働時間で稼ぐ。さらに二〇一〇年まで賃金凍結、超過勤務手当て返上の労働時間延長、工場の移転防止のため労働者側から便宜を図っている。労組も工場移転を恐れ傍観している。労組は西ドイツの悲劇を熟知しているからだ。
 ブラジルの労組はどうなっているのか。労組貴族という言葉さえある。労働者の上にあぐらをかいている階級がある。東欧はまさに労働革命の様相を呈し、労組は戦々恐々だ。労働革命は下から上へ起きている。まず労使交渉で合意が成立し、最終的に労働法として制定される。
 ブラジルの労働法は、労組と連邦政府の法制審議会が納得しなければ、何一つ改革できない仕組みだ。時代に乗り遅れたグループを情け容赦なく淘汰するグロバリゼーションの中で、一体何を考えているのか。